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<この人このまち>被災地の再生 農業から

いしだ・みゆき 1969年仙台市生まれ。福島女子短大(現福島学院大)卒。福島学院大企画広報室長などを経て2016年4月から理事長を1期3年務め、今年3月退職した。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地を支援しようと、地域課題解決のコンサルティングを手掛ける株式会社が5月、福島市内に設立された。社長の元福島学院大理事長石田みゆきさん(50)は「農業再生」をキーワードに、若者らがどっしりと根を下ろす被災地の未来像を描く。
(福島総局・近藤遼裕)

◎地域創造研究所・社長/石田みゆきさん(50)農業の次の一手を、飯舘村から発信することに意味がある。

 −「地域創造研究所」はどんな会社ですか。
 「私を含め、従業員3人体制の小さな会社でスタートしました。事務所は市中心部の商業ビルの一室。復興に取り組む被災自治体が抱える諸課題を解決するための事業提案や、自治体と企業をつなげるコンサルティング業務を担います。風評被害払拭(ふっしょく)のため、有識者をゲストに招く講演会を開催するのもわれわれの重要な役割です」

 −今後の展開を教えてください。
 「人工知能(AI)やドローンといった情報通信技術(ICT)を活用し、スマートアグリと呼ばれる新しい農業の在り方を福島県飯舘村で進めたいと考えています。肥料の量や与える時間などをデータ化し、機械を導入して効率性を向上させます。人手不足や高齢化が著しい農業の次の一手を、飯舘村から発信することに意味があります」

 −どうして飯舘村なのですか。
 「内陸部に位置しながら比較的なだらかで、津波被害を受けていないため土地を利用しやすいメリットがあります。原発事故に伴う避難指示が一部を除き2年前に解除された飯舘村でモデルケースを示せれば、農業や畜産業を生業としてきた他の被災自治体にも取り組みを広げられます」

 −福島学院大での勤務が長いですね。
 「事務局の職員として29年間。福島駅前キャンパス新設や四年制大学の設置などに携わり、最後の3年間は理事長も務めました」

 −教育現場から新しい分野へと足を踏み入れたきっかけは何ですか。
 「学生たちの未来をより明るくしたいと考えたからです。震災が起きた時は福島駅前キャンパスの理事を務めていました。原発事故で混乱を極める県内の各地に率先してボランティアに行ったり、大学に手伝いに来たりする学生のパワーに胸を打たれました。当時の学生たちの姿が、今の私の背中を押しています」

 −思い描く福島の未来像とは。
 「復興を進めるにはどうしても若者の力が必要。スマートアグリ事業を各地で展開し、若者を中心に幅広い年齢層がしっかり参入できる土台をつくりたいです」


2019年08月26日月曜日


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