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<岩手県知事選 現場からの報告>人材確保に通勤の壁 JR東北線1時間1本、県主導の交通施策期待

東芝メモリ北上工場が運行する通勤バス=北上市のJR村崎野駅前

 自動車、半導体関連の企業集積が進む岩手県南地域で、JR東北線の利便性向上を求める声が高まっている。渋滞対策のほか通勤圏を拡大して膨張の一途をたどる企業求人を確保する狙いがある。「5年間で5000人の雇用増」を見込む岩手県。公共交通の充実は待ったなしの課題だ。
 半導体大手東芝メモリ(東京)の北上工場は、今秋の完成を前に最寄りの村崎野駅(北上市)発着で通勤バスの運行を始めた。現在、約70人が朝夕に利用している。
 東芝メモリ岩手の高橋洋文人材採用センター長は「渋滞緩和はもちろんのこと冬場は慣れない雪道を運転せずに済み、事故防止にも役立つ」と話す。
 利用者の多くは北上、花巻両市周辺からの近距離通勤だが、中には盛岡市から通う人もいる。高橋センター長は「JRの使い勝手が良くなれば、遠方からの通勤が可能となり、人材確保につながる」と期待する。
 県南地域は自動車、半導体関連企業の進出、増員計画がめじろ押し(図)。県南8市町はJR東日本に、東北線の増便などを働き掛ける準備を始めた。
 事務局の奥州市は「一ノ関−北上間は現在、1時間に1本のダイヤ構成。せめて北上−盛岡間並みの30分に1本にしないと通勤には使いづらい。自動車離れが進む都会の若者のUIターンを呼び込むためにも必要だ」と説明する。
 実際、不便な公共交通が求人に影響した例もあった。2018年度に一関市の北上製紙とNEC事業所が相次いで閉鎖したのを受けて公共職業安定所が離職者に東芝メモリ北上工場を紹介したものの、通勤が困難なこともあって応募に至らなかった。
 北上公共職業安定所の高屋敷敏彦所長は「狭いエリアで限られた労働力を奪い合うより、通勤圏を広げて外から呼び込むべきではないか」と指摘する。
 北上市は東芝メモリ北上工場近くに地元負担の請願駅を要望する方針。奥州市も「JRに増便を頼む以上、駅と結ぶバス路線や駐車場整備など地元自治体が担う事業も出てくる」と負担を覚悟する。
 県は総合計画(19〜28年度)で「北上川バレープロジェクト」を打ち出した。盛岡市周辺から一関市を一体的な地域と捉え「働きやすく、暮らしやすい地域づくり」を目指す。
 県南の各自治体も県のリーダーシップに期待し「市町がめいめいに交通施策を進めても一体感がない。県南全体の公共交通をどうするか、県が大きな方向性を示してほしい」と異口同音に訴える。
(北上支局・野仲敏勝)


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2019年08月28日水曜日


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