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防災意識向上は教員から 宮教大311研修機構が本格始動

児童生徒が避難した道を案内する菊池さん(右端)=26日、釜石市鵜住居

 東日本大震災で被災した教育現場の教訓を伝えて学校防災に生かそうと、宮城教育大(仙台市)が教育関係者を対象にした被災地研修に力を入れている。学内拠点の「311いのちを守る教育研修機構」が4月に発足して初の本格研修が28日まで4日間、岩手、宮城両県で行われた。

 四国、関西など南海トラフ巨大地震の脅威に直面する地域を中心に教員や自治体関係者ら22人、宮教大のスタッフ9人が参加した。
 26日には627人が犠牲になった釜石市鵜住居地区を訪問。震災当時、釜石東中3年で市の伝承施設「いのちをつなぐ未来館」職員の菊池のどかさん(24)が震災時の状況を説明した。
 菊池さんは津波の恐ろしさや震災前に受けた防災教育の重要性を指摘。「足手まといになる」と避難しなかった高齢者らがいたことを踏まえ「『助けて』と簡単に言える社会をつくりたい」と訴えた。
 釜石東中の副校長だった村上洋子さん(61)は、東中の生徒と鵜住居小の児童が共に命を守った「釜石の出来事」について現地を案内しながら振り返った。
 避難を優先してマニュアルにあった校庭での点呼を省いた決断や、指定の避難場所を高台に変更して難を逃れたことを説明した。村上さんは「犠牲者を出さないため、被災地の悲しい経験を役立ててほしい」と呼び掛けた。
 海の近くに位置する高知市横浜小の下坂美和教頭は「津波で全滅しかねない現実を実感し、危機意識を強くした。研修に多くの教育関係者が参加してほしい」と感想を語った。
 一行は児童と教員の計84人が犠牲になった石巻市の旧大川小や児童約100人が高台に避難した宮城県南三陸町戸倉小も訪ね、遺族や当時の児童、教員と意見交換した。避難所になった学校の状況を元校長に聞く機会も設けた。
 研修機構を統括する武田真一特任教授は「震災の教訓を伝承し、災害を生き抜く人々を育てる上で教員が果たす役割は大きい。被災地の教員養成大学として研修プログラムを一層充実させていく」と話した。


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2019年08月29日木曜日


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