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<岩手知事選>台風10号豪雨から3年 命守る体制づくり模索・岩泉町

災害時に活用するドローンの操縦方法を確認する岩手県岩泉町職員

 岩手県内に甚大な被害をもたらした2016年の台風10号豪雨から30日で3年となる。24人が犠牲になった岩泉町は苦い教訓を踏まえ、町の防災力を支える体制づくりと人材育成が始まった。住民の命を守るため、行政機関の模索が続く。

 町民体育館で20日、迅速な被害状況把握に向けた小型無人機ドローンの操作講習会があった。町は昨年11月に東北の自治体では初となる運用隊を結成。定期的に技能向上の場を設けた。
 町防災対策室の浦場多美男室長は「豪雨で道路が寸断され、集落が孤立した台風10号被害を念頭に置いた対策」と説明。運用隊は操縦資格を持つ職員6人で組織し、町役場にはドローン2機を常備した。
 3年前の豪雨と洪水では、防災拠点となるはずだった役場が機能不全に陥った。この反省から町は昨年7月、危機管理課を新設した。専従3人、兼務6人の体制で、防災行政に精通した職員の育成を目指す。
 「町に防災の担当部署ができたのは心強い」と小川地区自主防災協議会長の守田敏正さん(69)。歓迎の言葉は、災害の矢面に立たされる住民たちが常に抱える不安感の裏返しだ。
 町の防災体制は現在、6行政地区ごとに結成した自主防災組織が訓練や危険箇所、避難場所の確認作業で中心的役割を担っている。だが、組織の中核世代は多くが働き盛りで、住民による自主運営には限界があるという。
 守田さんは「地区の高齢化が進む中、どうやってみんなの命を守ればいいのか。知識を地域社会に還元できる職員を養成してほしい」と訴える。
 ただ、町単独で住民の不安を解消するのは困難だ。県は17年、盛岡地方気象台や東北地方整備局河川国道事務所、岩手大の研究者らで構成する「風水害対策支援チーム」を設置した。
 台風10号豪雨規模の風水害の発生が予想されるケースで、各機関が気象予報や河川の水位に関する情報を持ち寄り、迅速に被害想定地域を特定。市町村が的確に避難の勧告や指示を発令できるよう助言する。
 これまでに支援チームの招集実績は3回あり、台風接近に伴って全33市町村に助言した。県総合防災室は「警報発表前に市町村が警戒本部を設置し、いち早く対応できるようになった」と手応えを強調。同時に情報を受け取る側の対応能力向上も求めた。
 岩手大の斎藤徳美名誉教授(地域防災学)は「どの自治体も自然災害の当事者になり得る。防災体制を強化するには行政職員が専門性を高め、住民との意思疎通を密にしなければならない」と話している。
(宮古支局・佐々木貴)


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2019年08月30日金曜日


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