岩手のニュース

<人駅一会>(13)高田病院/弔いの手彫り五百羅漢像

セミの声が響く杉木立の間から、「西方浄土」に向けて祈る五百羅漢像。大切な人を 失った被災者やボランティアらが思いを込めて彫り上げた
菅原由紀枝さん

 東日本大震災で分断された交通網が、長い一本の線につながろうとしている。傷跡を癒やしながら、少しずつ復興に向かう被災地の数々。点々と海沿いに続く駅を起点に訪ね歩いた。

◎陸前高田市高田町 管理栄養士 菅原由紀枝さん(56)

 高台にある普門寺の近くには病院や学校が移転され、BRTの高田病院駅もできた。境内へ続く参道の両側に569体の石像が並んでいます。東日本大震災の犠牲者を弔う手彫りの五百羅漢像です。見に訪れる人も増えているようです。
 目を閉じて静かに祈りをささげたり、頬づえをついて物思いにふけったり。どれにも個性があふれています。
 津波で両親を失い、それから特別養護老人ホームの仕事やボランティアの活動で、めまぐるしい日々を過ごしました。
 五百羅漢像の制作が普門寺で始まったのは震災から3度目のお盆を前にした頃。私も参加しました。亡くなった人たちを思い、自分と向き合う時間が必要だと。一彫り一彫り、のみを打ち込むと心が落ち着つき、おととしまで6体作りました。
 仕上げた像はみんな優しくほほえんでいるような顔立ち。自分で作った物なのに、見る度に自分が励まされています。
(文・写真 高橋 諒)

◎大船渡線BRT 高田病院

 津波で被災した岩手県立高田病院は昨年3月に現在の高台に移転し、大船渡線がBRTになったのに伴って高田病院駅が新設された。駅から普門寺までは1.7キロ。境内には、震災の死者・行方不明者と同数(18430)のつるし雛(びな)「ねがい桜」もある。ことし4月、つるし飾りの数でギネス世界記録に認定された。


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2019年09月01日日曜日


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