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<東京五輪 期待の新種目>想像超える登りに興奮/スポーツクライミング

女子複合予選 リードで課題に挑む伊藤
派手な照明でショーアップされた世界選手権の会場

 2020年東京五輪は史上最多33競技、339種目が実施される。新たに採用される競技や種目は、空手のように伝統的なものもあれば、若者に人気の都市型スポーツもある。初採用される5競技・種目を紹介する。(2020年東京五輪取材班)

■「全力で楽しむ」

 8月に東京・八王子であったスポーツクライミングの世界選手権。優勝した楢崎智亜(ともあ)(23)=TEAM au=をはじめ、日本の実力は男女とも世界トップレベル。東京五輪のメダル候補だけに、熾烈(しれつ)な戦いの連続だった。
 大会はスピード、ボルダリング、リードの3種目の複合で争う五輪の代表選考を兼ねた。東北から挑んだ伊藤ふたば(17)=同、岩手・盛岡中央高2年=。結果は、決勝進出者8人中7位、日本人4人のうち最下位に沈んだが、「全力で楽しむ」と最後まで諦めなかった。
 最初のスピードは高さ15メートルの共通コースで速さを競う。決勝は2人ずつスタートする勝ち抜き方式。今季好調な伊藤の予選タイムは8秒917。相手の英国の選手は10秒台。楽勝の相手だったが「緊張していた」。中盤でミスが出て失速し逆転負け。5位に終わる。

■頭脳と経験必要

 ボルダリングはルートを見極める頭脳や経験が求められる。3課題(コース)あり、第一人者の野口啓代(30)=TEAM au=は2課題完登で1位。伊藤は完登ゼロの6位だった。
 野口はスピード7位だったが落ち着いていた。「最初からスピード勝負ではないのでダメージはなかった。ボルダリングで1位になることだけを考えた」。2種目終わって全体2位に浮上した。
 高さを競うリードは大胆な動きやバランス、持久力が試される。日本人は15歳の森秋彩(茨城県連盟)が2位。野口3位、伊藤4位と続く。野口は得意の種目でしっかり力を発揮し、日本人トップの銀メダルで代表内定を勝ち取った。
 複合は3種目の順位を掛け算してポイントの少ない選手が上位になる。種目の順位を一つ落とすだけでポイント差はぐんと開く。
 もし伊藤がスピードで2位以内だったら、展開はきっと違った。「ミスなく力を出せればトップ選手とも戦える」。残る1枠の代表争いに向け、今後の自信を得たのが収穫だろう。
 スポーツクライミングの国際大会が始まったのはほんの30年前。歴史が浅いにもかかわらず五輪種目に採用されたのは、それだけの面白さを秘めている証しだ。
 今大会、ボルダリングの課題を作る「セッター」に仙台市出身の堀創(つくる)さん(29)が名を連ねた。11年のボルダリング・ワールドカップカナダ大会覇者で、18年に引退。東京を拠点に新たな道を歩み始めた。
 「想像もしていない登りを見せられると僕らもワクワクする。多くの人に楽しんでもらえるようスタッフとして活躍できればいい」。20年が待ち遠しくてたまらない。


2019年09月01日日曜日


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