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<東京五輪 期待の新種目>気迫と集中一瞬の攻防/空手

南部九州インターハイ空手男子組手団体1回戦の大将戦で攻める東北学院・高橋=8月、沖縄県名護市
道場で「型」の指導をする豊見城館主(左手前)=8月、沖縄県浦添市

 2020年東京五輪は史上最多33競技、339種目が実施される。新たに採用される競技や種目は、空手のように伝統的なものもあれば、若者に人気の都市型スポーツもある。初採用される5競技・種目を紹介する。(2020年東京五輪取材班)

■200年以上の歴史

 瓦を割るわけではない。相手を殴るわけでもない。競技空手は武道の本質を保ちつつ、洗練されたスポーツだ。
 今夏、沖縄であった空手の全国高校総合体育大会(インターハイ)。組手の団体は寸止めルールで5人が2分間ずつ戦い、ポイントを競う。一瞬の攻防が勝敗を分ける。
 男子1回戦。2−2で大将戦を迎えた宮城・東北学院は3年高橋慶大(17)に運命を託す。残り42秒で2−2と追い付かれたが、終盤に前手の上段突きを立て続けに決めた。中学、高校で磨いた自慢の技が光った。
 「空手は駆け引きが面白い」と高橋は言う。「現役の最後の全国大会を沖縄で迎えられたことは思い出深い」と感慨深げだった。
 空手は沖縄生まれだ。「手(てぃー)」と呼ばれる沖縄古来の武術と中国武術が融合したとされ、200年以上の長い歴史を持つ。道場は街のあちこちにあり「型」を通じて老若男女が体と心を鍛える場になっている。
 浦添市の道場は夜9時を過ぎても、小中学生の気迫のこもった稽古が続いていた。「シュッとやらないと伝わらないさ」。館主の豊見城(とみしろ)あずささん(46)が気合を入れる。力強さ、緩急、気持ち。それらがそろった演武は迫力十分だ。
 豊見城さんは2004年世界選手権団体形の優勝メンバーだった。競技で「型」は「形」と表記され、審判員が技術面、競技面で得点をつける。「戦う姿をイメージする。役者と一緒。礼をして形名を言ったら戦いが始まる」
 無駄な動きはない。演武は長くて3分半。爪先から頭のてっぺんまで全ての動きに気を配る。静と動の技の向こうに見えない相手との攻防が浮かび上がる。
 形の強い選手は組手も強いという。「形と組手は通じている。根幹は同じ」。豊見城さんは自信を持ってうなずく。

■「敬う姿勢大事」

 東京五輪は組手と形の2種目を行う。東北からは川村菜摘(24)=警視庁、宮城・聖和学園高−帝京大出=が組手で出場を狙う。「スピードが自分の持ち味」。61キロ超級の選考レースで、16年世界女王の植草歩(27)=JAL=を懸命に追う。
 勝負の世界だから勝つことが大事。海外の選手は勝てば派手なパフォーマンスで素直に喜ぶが、川村はこう強調する。
 「空手を通じて学んできたものは相手を敬う姿勢。五輪では日本人選手の礼儀正しさや基本に忠実な技の美しさに注目してほしい」


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2019年09月03日火曜日


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