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<原発・福島のいま>荷物共同で輸送・配送 浪江、楢葉の事業所が実験へ 物流停滞の解消狙う

 東京電力福島第1原発事故で被害を受けた福島県沿岸部の旧避難区域で、複数の事業所向けの荷物を共同で輸送・配送する実証実験が今月スタートする。旧避難区域は原発事故の影響で一部荷物が事業所まで届かない現状があり、実験を重ねて地域の課題である物流停滞の解消を目指す。
 福島県浪江、楢葉両町の金属加工業、家電店、家具店など十数事業所が町ごとに協議会を設けて実験に取り組む。対象事業所宛ての荷物はいったん南相馬市内の倉庫に集め、倉庫会社が浪江、楢葉向けに仕分けして自社トラックに混載し、配送する。
 宅配便で扱われるサイズを超える大型の荷物(30キロ以上)を想定し、浪江で今月末、楢葉では10月から実験を行う方向で調整している。荷物が一つでもあれば配送する計画で、各事業所の需要を検証して来年度以降の実用化を検討する。
 旧避難区域では、複数の事業所に荷物を運ぶ「混載便」のサービスが再開されないままとなっている。原発事故で運送業者が避難したことに加え、貨物輸送から汚染土の運搬事業に業態転換した業者が多く、地域の物流インフラが細っているためだ。
 区域内の事業所は区域外の物流拠点まで社員が荷物を受け取りに行ったり、事業所まで荷物が届く宅配便サイズに小分けして送ってもらったりして対応。物流拠点まで40キロ以上離れている事業所もあり、手間とコストもかかっている。
 実験は、被災事業者の自立を後押ししている公益社団法人福島相双復興推進機構(福島市)などが側面支援して行う。国土交通省の補助金を活用して本年度末まで実施する予定で、同じような悩みを抱える事業所の参加も促す。
 実験に参加するアクツ電機(浪江町)の社長阿久津雅信さん(48)は「旧避難区域で再開した事業所にとって、荷物が届かないのは死活問題だ。実用化の道を探り、早く元の物流が戻る地域にしたい」と話す。


2019年09月05日木曜日


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