宮城のニュース

<せんだい進行形>製造業、働きやすさへ投資 保育所整備、テラス設置、食堂改装…従業員に好評、意欲アップ

トヨタ東日本の宮城大和工場にある保育所=宮城県大和町
CKD東北工場に設けられたテラス=宮城県大衡村
ケーヒンがリニューアルした社員食堂=角田市

 仙台圏の大手メーカーの工場を中心に、従業員が働きやすい職場の整備が進んでいる。注目したいのは、生産には直接関わらない部分への設備投資。人手不足や経営環境の変化を背景に、各社は就労環境を改善することで女性の活躍や従業員の満足度向上を狙う。「働く意欲の向上につながる」と、現場にも好評だ。
(報道部・高橋公彦)

◎子育て後押し/トヨタ東日本

 トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は子育て世代の働く女性を支援しようと、岩手県金ケ崎町の岩手工場と、宮城県大和町の宮城大和工場で企業内保育所を運営している。
 同社はトヨタの子会社3社が合併して発足した。担当者は「関東圏などから移り住んだ従業員が多く、出産した女性が待機児童の問題に直面したり、遠方の両親に預けられず職場復帰が難しかったりする現状があった」と説明する。
 保育所はともに定員40人で、0歳〜就学前の乳幼児が対象。近隣企業の従業員、地域住民の子どもも受け入れる。開所日時は工場に合わせ、祝祭日も稼働日の場合は利用可能だ。時間も午前5時半〜午後9時までと長い。
 宮城大和工場品質管理部の高橋莉奈さん(26)は、長女(4)と長男(1)を預けて早朝や深夜の仕事があるフルタイム勤務をこなす。「開所日や時間が工場に基づくので働きやすい。子育てに対する会社の後押しがあり、キャリアアップしたいという意欲が持てる」と話した。

◎全て採光考慮/CKD

 工場自動化機器製造のCKD(愛知県小牧市)。1月に完成した宮城県大衡村の東北工場のコンセプトに掲げたのは「人にやさしい工場」だ。部品の出入庫をコンピューター管理する自動倉庫の導入など、組み立てや検査工程の自動化、省人化を進める。
 生産現場だけではない。1〜3階全てに休憩室を、女性用トイレの一角にはパウダールームを設けた。3階の社員食堂には外気に触れられるテラスを整備。廊下の幅を広くし、角を削って出合い頭の衝突がないよう安全にも配慮した。
 鈴木孝幸工場長は「生産性の向上には緊張を解いてリラックスすることも大切で、心身の健康にもつながる。昔ながらの工場のイメージを払拭(ふっしょく)し、若者に製造業を選んでほしいという思いもあった」と明かす。
 生産技術グループの橋本圭司さん(40)は「玄関からオフィス、食堂に至るまで採光が考慮され、見晴らしが良くて明るい気持ちになる。設備に満足せず、業務にまい進して成果を上げたい」と意気込む。

◎緑でくつろぎ/ケーヒン

 ホンダ系自動車部品製造大手ケーヒン(東京)は昨年6〜8月、角田市と宮城県丸森町にある拠点の五つの食堂を大規模リニューアル。木目を基調とした内装に変えて観葉植物を配置するなど、カフェのような雰囲気にした。
 宮城製作所IPM工場第2製造課の遠藤美咲さん(22)は「これまでは壁や床など全体が白っぽい『いかにも社員食堂』だったが、緑があって温かみのある空間になった。よりリラックスできて、午後からまた仕事を頑張ろうと思える」と評価する。
 同社はグループ売上高を30年までに16年比で2倍となる7000億円に引き上げる計画を掲げ、実現に向けた中期経営計画(17年4月〜20年3月)のグローバル方針を「成長する強い会社・誇れる良い会社の実現」と定めた。
 経営企画室の担当者は「従業員が会社を好きになることが成長の原動力。電動化や自動運転といった大変革期を乗り越えるため、従業員が良いと思えない部分は変えていかなければいけない」と強調する。


2019年09月06日金曜日


先頭に戻る