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<岩手知事選>「県民利益」「国と地方」とは 各界からさまざまな意見

「国とのパイプ役」「岩手から国を動かす」。有権者の支持を得るのは、どちらの知事候補か

 県民利益を実現するため、国と地方の関係はどうあるべきか。終盤を迎えた岩手県知事選(8日投開票)で、現職達増拓也氏(55)と新人及川敦氏(52)の論争が続いている。あなたが考える「県民利益」とは? 「望ましい国と地方の関係」とは? 県内の各界各層の声を集めた。

 宮古水産加工業協同組合(宮古市)の佐々木公一組合長(68)が考える県民利益は「海の幸を消費者に届け続け、雇用が創出されること」。
 東日本大震災で被災した水産加工施設は国のグループ化補助金で設備復旧こそ進んだものの、販路の回復は苦戦が続く。佐々木組合長は「国とのパイプ、地域から声を上げること、どちらも大事」と話す。
 被災者支援を続けるNPO法人遠野まごころネット(遠野市)の佐藤正一理事長(70)は「喪失の痛みを持つ人には、居場所づくりが大切だ」と、被災地の利益を代弁する。
 国と向き合ってきた経験上「知事と政権の距離感は地域振興に無関係」と指摘し「国とのパイプはその時々でつくればいい」と強調する。
 過疎地には教育格差の問題が横たわる。民間学習塾のない葛巻町は、全国で学習塾を展開する「Birth(バース)47」(東京)に委託して公営塾を開設した。
 山谷淳也塾長(40)は「地方創生の流れの中、教育分野は国に頼るだけではなく、県や市町村が独自色を出した方が魅力向上につながるのではないか」と提案する。
 医師の偏在は、どうしたら解消できるのか。雫石町で診療所を切り盛りする増田進医師(85)は「国はへき地医療に関心がない。陳情するだけではどうにもならない」と嘆く。
 県立病院が県内各地に配置されている態勢を踏まえ「地域で健康に暮らせる環境をどう整えるか。県は現場の医師や市町村を交えて真剣に考えるべきだ」。
 半導体大手東芝メモリ(東京)の工場進出で岩手の地域経済をけん引する北上市。北上商工会議所の阿部豊副会頭(63)は「県はこれまで同様、国と一体となって半導体産業が地域に根付く取り組みをしてほしい」と求める。
 一関市は超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現に疲弊する地域の将来を託す。
 勝部修市長(69)は「誘致決定は政権与党との信頼関係がポイント」と強調。「首相や自民党幹事長と気軽にコミュニケーションを取れなければならない」と、知事に政権党とのパイプ構築を期待する。
 一方、震災で大きな被害を受けた陸前高田市の戸羽太市長(54)は「今はまだ復興を果たしたと言える状況ではない。震災後、陸前高田は県と一緒に汗を流し、涙を流してきた」と語り、県と市町村の二人三脚を重視する。

◎国動かし自治実現

 達増拓也氏の主張 県と市町村が力を合わせてしっかりと国に要望していけば、どの党の政権であっても誰が首相であっても国を動かすことができると、震災復興を進める中で経験してきた。県民が幸せになる地域振興や人口減少対策を示し、岩手から国を動かして地方自治を実現する。

◎「パイプ役」が必要

 及川敦氏の主張 いたずらに国と対立するばかりでは県民利益が大きく損なわれる。岩手には国とのパイプ役が必要だ。県民の代表として知事は、必要な政策を練り上げて国に陳情しなければならない。震災の復興財源は国と協議して確保し、ILC誘致も国に熱意を届けて実現させる。

 ◇岩手県知事選立候補者
達増 拓也55知事  無現
   (立・国・共・社推)
及川  敦52元県議 無新
   (自推)


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2019年09月06日金曜日


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