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<ツール・ド・東北>ライブ魂で復興ライド アニソン歌手・遠藤さん初参加、影山さんと完走目指す

初めて参加するツール・ド・東北に向け、被災地に寄せる思いなどを話す遠藤さん(右)と影山さん=東京都渋谷区の事務所

 東日本大震災の被災地を自転車で巡る「ツール・ド・東北2019」(河北新報社、ヤフー主催)に、石巻市出身でアニメソング歌手の遠藤正明さん(52)と、「ドラゴンボール」のテーマ曲で知られる影山ヒロノブさん(58)が初参加する。被災地で復興支援ライブを重ねた当時の思い出を胸に、三陸沿岸を走る。
 2人は、石巻専修大を出発し、女川や雄勝などを回る北上フォンド(100キロ)に挑む予定だ。一緒に被災地を自転車で巡るのは、サイクリングを趣味とする影山さんの提案で牡鹿半島を訪れ、約70キロを走った2016年3月以来という。
 「今回のコースは高低差が激しく、経験がある僕でもへっちゃらではない」と話し、気を引き締める影山さん。遠藤さんは「制限時間を過ぎ、バスに収容されないよう頑張りたい」と意気込み、完走を目指す。
 震災の津波で、牡鹿半島の石巻市寄磯浜にある遠藤さんの実家は半壊の被害を受けた。高校まで過ごした地域の風景は一変し、全て流された集落もあった。
 1カ月後の11年4月、所属するユニット「JAM Project」の影山さん、アニメ「ONE PIECE」の主題歌を担当する、きただにひろしさん(51)と、3人が暮らす東京から車で駆け付けた。
 衣類など支援物資を配り避難所を後にしようとすると、被災者から「歌わずに帰るのかい」と呼び止められた。機材はなく、3人はアカペラで代表作を熱唱。遠藤さんは、住民に笑顔が戻る姿を見て「のんきに歌っていいのかと迷いがあったが、救われた」と振り返る。
 その後、市内で開いたライブには約2000人が集まった。会場で互いの安否を確認し、喜び合う住民の姿も。握手会では、被災した自宅のがれきから見つけた石巻のご当地ヒーロー「シージェッター海斗」のCDを手にした男の子から、サインをねだられた。
 海斗のテーマ曲は影山さんが作曲し、遠藤さんが歌う作品だ。市内の石ノ森萬画館に保管されていたCDが津波で流失したため、「もう一度つくり直そう」と決意。復興応援ソングを添えて新たにリリースするなど、再生を支援する。
 「古里が嫌いで東京に出たが、震災を機に古里への思いが変わった。地元の風を感じ、復興をかみしめたい」。遠藤さんは願う。
 影山さんは「被災地支援をしたくてもきっかけがない人は多く、機会をもらった僕は幸せ。彼のライフワークを長く手伝いたい」と話し、伴走するつもりだ。


2019年09月08日日曜日


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