宮城のニュース

<暮らしの中の動物たち>[9]牛(上)/大きな体 診療は重労働

体重は子牛でも100キロ近く、成牛なら優に500キロを超える(写真を一部加工しています)

 田舎暮らしを始めて約1年間、近くの牧場で牛の診療に携わりました。家畜の診療は初めてでしたが、今までいろいろな小動物を診てきたので、特に完全な草食動物である牛とウサギやモルモット、チンチラは、基本的な治療方針に大きな違いはなく、むしろ、牛の治療に小動物を治療してきた経験を生かすことができ充実した1年でした。
 もちろん、大きな動物が相手なので、力ずくで抑え込むことは不可能です。子牛でも体重が100キロ近くあり、成牛ともなれば500キロを優に超えます。牛の大きさに合わせて捕まえ方も変わってきます。
 人が素手で捕まえられる牛の大きさは、頑張って150キロくらいです。それ以上になれば、角と口先にロープを上手に掛けて、柵に固定しなければ治療になりません。
 成牛にワクチンを注射したり、口からビタミン剤を飲ませたり、ノミやダニの予防薬を背中に塗ったりする際には、作業を効率よく行うために、移動用トラックに10頭ほどまとめて載せて、荷台の中でそれを行うこともあります。
 窮屈な場所だと牛が暴れることができないので、格段に作業しやすくなるのです。しかし、トラックに牛を載せる作業は、それはそれでまた大変です。
 牛を追い掛けながらトラックに載せたり、牛に掛けたロープを前から引っ張ると同時に、他の人たちが後ろから押したりしながら駄々をこねる牛を大人数の力勝負で載せたりもします。
 牛の移動は重労働ですが、体を動かすのが好きで動物が好きな人にとっては、苦にならない仕事だと思います。
 子牛は離乳食をしばらく食べて成長しますが、この離乳食にはミルク成分が含まれていて、栄養価も高く、人が匂いを嗅いでもおいしそうです。この匂いに引き寄せられるように、牧場内にはいろいろな動物がやってきます。
 その動物はイノシシ、タヌキ、アナグマ、カラス、スズメなどさまざまな野生動物たちです。特に、イノシシは牛舎のシャッターを鼻でこじ開けて入ってきたり、シャッターの支柱を倒して入ってきたりと、かなり厄介です。
 衛生面でも好ましいことではなく、牧場では野生動物の駆除対策も重要な課題になっています。
(獣医師・川村康浩)


2019年09月13日金曜日


先頭に戻る