秋田のニュース

米どころ秋田・大潟村、タマネギの産地化目指す コメ依存から脱却へ

乾燥・貯蔵施設でのタマネギ出荷作業。産地化を目指し大潟村農協が整備した

 コメの一大産地、秋田県大潟村がコメ依存型からの脱却を目指し、2年前からタマネギを取り入れた複合栽培に力を入れている。米価低迷や消費減退でコメを取り巻く環境に厳しさが増す中、作業の機械化が可能な高収益作物として着目した。作付面積100ヘクタール、年間収穫量4000トンを目標にするが、収量はまだ安定していない。産地化までの道のりは平たんでなく、試行錯誤が続く。(秋田総局・渡辺晋輔)

■面積は5倍に

 村では8月にタマネギの種をまいて約60日後に畑に植え、翌年6〜7月に収穫する。今年2月に完成した大型乾燥・貯蔵施設で10日ほど乾燥させ、選別機で根と葉を取り除き出荷する。
 施設は総床面積2293平方メートル。村農協が国の補助金を活用して総工費約5億8500万円で整備した。
 生産を担う村農協のたまねぎ生産組合は2017年に設立された。1年目は十数人が村内外の計12ヘクタールで67トンを収穫した。2年目は60ヘクタールに広がり、1200トンの収穫を見込む。
 狙うのは「カット野菜」などで需要のある加工用。量の安定確保が重要だ。

■機械化が可能

 村は半世紀前、コメ増産を目的に八郎潟を干拓して誕生した。水田面積は8951ヘクタール。17年の農業産出額約123億円のうち、コメは119億円と全体の約97%を占めた。
 現在、489ある生産者の所有農地の平均面積は約18ヘクタールで、6割の生産者は入植当時と同じ15ヘクタールのまま。後継者が確保できるため余剰農地が少ないからだ。限られた農地でどう所得向上を図るかが課題だった。
 タマネギは東北に大きな産地がない。栽培から収穫までの作業が機械化できることや、収穫期が主産地の北海道、九州とずれる利点がある。
 畑作への「追い風」もある。村内は干拓地で排水が悪く畑作への転換が難しかったが、数年前からの地下排水溝工事の進展で状況が好転した。

■目標単収4トン

 実際の取り組みでは、さまざまな問題に直面する。村農協の担当者は「最初の年のタマネギは小さく、今年は品質にばらつきがあった」と話す。小林肇組合長は「乾燥すると酸性化する土質が生育を阻害している」と指摘。石灰で中和する土壌改良が欠かせない。
 農地所有適格法人「みらい共創ファーム秋田」(大潟村)は村内外の約40ヘクタールでタマネギ生産に取り組む。涌井徹代表によると、本年産は10アール当たり収量(単収)が3トンいくかどうかだというが、土壌改良のほか種まきや植え付けの時期を早めるなど工夫を重ねる。
 涌井代表は「雪が降る前にどれだけ生育できるかがポイント。全員素人だったが、目標単収の4トンが見えてきた」と力を込める。
 現状を「産地を目指す生みの苦しみ」と表現する小林組合長。「単収3トン以上ないとコメ以上の収益にならない。コメが主力であることに変わりはないが、現在の米価を考えれば限られた面積で収益を上げる必要がある。いち早く産地化を図りたい」と強調する。

◎富山・となみ野農協/技術改善と指導徹底 積雪地での越冬成功

 コメ産地でタマネギとの複合栽培で先行するのが「となみ野農協」(富山県砺波市)だ。米価低迷基調を背景にタマネギを導入した。積雪地での冬越しの大規模栽培は他に事例がなく、大潟村農協関係者も視察に訪れるなど注目を集める。
 となみ野農協は砺波農林振興センターと連携し、2008年度から取り組む。主産地の北海道は春に畑に植えて秋に収穫するが、富山では畑で冬を越して翌年の6〜7月に収穫期を迎える。
 前例のない挑戦で、収量安定まで多くの課題に直面した。24の生産者が8ヘクタールで作付けを始めたがサイズは小さく、10アール当たり収量(単収)は2.1トンと目標の4トンを大きく下回った。
 その後、育苗技術の改善と生産指導の徹底などで14年産の単収は4.8トン、販売額は2億3000万円に拡大。18年産は販売額4億円を達成した。
 19年産は116の生産者が200ヘクタールで作付けし、1万トンの収穫を見込む。産地としての存在感は着実に増しており、農協はさらなる面積拡大を目指す。


関連ページ: 秋田 経済

2019年09月13日金曜日


先頭に戻る