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<震災8年半>災害公営住宅の家賃滞納、増加の一途 1500世帯超え法的措置39件に

災害公営住宅の明け渡しを求め、強制執行に踏み切った気仙沼市職員=5月21日

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故を受け、岩手、宮城、福島3県に建設された災害公営住宅(復興公営住宅)で、家賃を滞納している世帯が少なくとも約1500世帯に上ることが12日、河北新報社の調べで分かった。明け渡し訴訟など法的措置は39件に上り、強制執行も6件あった。滞納世帯数、滞納額ともに右肩上がりで、被災者の生活苦に拍車が掛かっている。(報道部・高橋鉄男)

 県営の災害公営住宅がない宮城を除く岩手、福島2県と、3県の計55市町村に、管理する災害公営住宅約2万7000世帯の滞納の現状を尋ねた。
 既に退去した世帯を含め、17年度末は2県と35市町村で少なくとも1060世帯あり、滞納額は1億1854万円だった。18年度末は2県と39市町村で同1513世帯、2億1170万円に急増。世帯数で4割、滞納額で8割増えた。
 自治体別では石巻市の259世帯が最多。気仙沼市163世帯、宮城県南三陸町145世帯、いわき市134世帯、福島県80世帯と続く。陸前高田市は災害公営住宅単独の滞納状況は把握しておらず、岩手県は世帯数の回答がなかった。
 滞納の背景には、病気や介護で働けなくなったり、重いローンを抱えていたりするほか、一定の所得があるため家賃が上がって滞納する例もあるという。
 各自治体は電話や戸別訪問で分納などを指導しているが、家賃を長期滞納する場合には退去を求めて法的措置を取る。件数は岩手県と仙台市各16件、宮城県山元町3件、石巻市2件、気仙沼市といわき市各1件。
 岩手県は6カ月以上または30万円超の滞納があり、支払う意思がない世帯に民事調停を申し立てている。調停では5年以内の分納を条件に入居継続を認めているという。
 仙台市は18年度から民事調停に踏み切った。市は「17年度まで被災状況に配慮していたが、指導しても支払う意思がない世帯には厳正な措置を取らざるを得ない」と説明する。このうち5件で部屋を明け渡しさせる強制執行をした。気仙沼市も1件あった。
 入居者全体に占める滞納世帯率は5%前後とみられる。15年度末の総務省の全国調査(一部自治体を除く)では11.2%だった。国と被災自治体は低所得者に入居10年目まで家賃の減免措置を設けており、家計をある程度下支えしている。
 ただ減免措置が打ち切られれば、滞納が急増しかねない。仙台市の住民有志は「厳しい被災者の生活を圧迫する」と減免の継続を求める。いわき市は病気や解雇で予期せず収入が減少した場合、一般入居者も対象にセーフティーネットづくりを検討する。担当者は「福祉部門と連携した生活状況の把握や福祉支援が一層重要になる」と話す。


2019年09月13日金曜日


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