宮城のニュース

<ツール・ド・東北2019>北海道と熊本の被災者も出走 復興途上の現状に驚き

防災対策庁舎の前を駆け抜け、被災地の現状を目に焼き付ける佐々木さん=15日午前10時20分ごろ、宮城県南三陸町
100キロを完走し、熊本地震の被災地から共に参加した友人と握手する杉本さん(左)=15日午後3時ごろ、石巻市の石巻専修大

 「想像より東北の被害はずっと深刻だった」。北海道地震、熊本地震で被災したライダー2人が15日、ツール・ド・東北2019に初めて参加した。2人は東日本大震災で被災した沿岸部の姿を目に焼き付け、地元に戻って教訓を伝えたいとの思いを胸に刻んだ。
 札幌市白石区の会社員佐々木歩さん(39)は気仙沼ワンウェイフォンド(100キロ)に出場した。「正直もっと復興していると信じ込んでいた。『復興五輪』どころじゃない」と話し、現状に胸を痛めた。
 昨年の第6回大会にエントリーしたが、1週間前の2018年9月6日に最大震度7の地震が北海道を襲った。道内は国内で初めてとなる全域停電「ブラックアウト」に陥り、出場を断念せざるを得なかった。
 児童74人が犠牲になった石巻市の旧大川小そばで小学生数人が「せーのっ。頑張れー」と声援を送ってくれた。佐々木さんも同じ年頃の息子2人を育てる父親だ。「教訓を生かし、助かる命を少しでも増やさなければ」と目頭を熱くした。
 「観光気分で足を踏み入れては被災地に失礼だ」とこれまで現地入りをためらってきたが、レースを温かく見守る住民の姿に迷いが晴れた。「自分の目で事実を確かめ、周囲に伝えることが何よりも大切だ」と、来年の再訪を誓った。
 「更地だけど、ここに家が立っていたのかな」。熊本大大学院1年の杉本英治さん(22)=熊本市中央区=は、震災前の風景を想像しながら北上フォンド(100キロ)を駆け抜けた。
 16年4月の熊本地震で大学は一時休講になり、高齢者宅を片付けるボランティアに取り組んだ。地盤工学を専攻し、熊本の液状化被害を勉強する中で「東北がどう復興したのか見てみたい」と参加を決意した。
 宮城県女川町のJR女川駅前に整備された美しい街並みに心を奪われた一方、石巻市雄勝地区には巨大な防潮堤の脇に工事車両が並び、復興のコントラストにショックを受けた。
 「熊本は東北よりも被災規模が小さく、風化が進んでいる」と問題提起する杉本さん。「ツール・ド・東北のような全国から人が集うイベントは貴重な機会。10年と言わず長い目で継続してほしい」と願った。


2019年09月16日月曜日


先頭に戻る