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<東京検分録>去り際に大臣の本音 封印せず建設的な論戦を

 去り際の大臣からは、本音や本心がぽろりとこぼれやすい。
 古くは、退陣の記者会見で「新聞記者のいるところでは話したくない」と言い放った佐藤栄作元首相。最近では、防衛相の離任式で2回とも感極まり涙した小野寺五典氏(衆院宮城6区)。11日の内閣改造の前も閣僚2人の発言が印象に残った。
 1人は原田義昭前環境相。東京電力福島第1原発でたまり続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、10日の記者会見で「思い切って(海に)放出して希釈する他に選択肢はない」と私見を述べた。
 風評被害を懸念し、海洋放出に断固反対する地元漁業関係者を逆なでする捨てぜりふだ。後任の小泉進次郎環境相は就任会見で「福島の復興に努力してきた方々のご苦労をさらに大きくしたとすれば、大変申し訳ない」と陳謝。12日に福島県を訪れ火消しに追われた。
 「正直言って、長いこと真剣に考えていた」「誰かが言わなければならない、自分はその捨て石になってもいい」。原田氏は13日、フェイスブックでこう釈明したが、問題提起なら在任中に示すべきだったのではないか。
 もう1人は石田真敏前総務相。10日の記者会見で、東京一極集中と地方の疲弊は限界だと訴えた。
 関東の交通網や電力供給を直撃した台風15号を挙げ「台風がいつも来るような(地元の和歌山)県に住んでいると、あのレベルでと言ったら誠に申し訳ないが、首都圏では大混乱が起きた」と指摘した。
 想定される首都直下地震、富士山噴火に対する危機意識の欠如を嘆き、「東京にどうしても置いておかないといけないものは別として、そうでない機能はできるだけ地方に分散してほしい」と力説した。
 かつて盛り上がった首都機能移転問題を思い出した。東日本大震災と原発事故当初の迷走ぶりを振り返れば、その必要性は全く色あせていない。
 10月初めには臨時国会の召集が予定される。内閣の一員とはいえ、持論をむやみに封印すべきではない。国家百年の計を見据えた建設的な論戦を切に願う。
(東京支社・瀬川元章)


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2019年09月16日月曜日


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