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鳥取で東北の味いかが 震災で避難の男性が飲食店開業、「ずんだ餅」「油麩丼」提供

東北の料理を出す飲食店「創作味処そろそろ」の神山さん=鳥取市

 宮城県石巻市ですし店を経営していた神山孝光さん(59)が、東日本大震災後に避難した鳥取市で東北の料理を出す飲食店を開いた。震災でいったんは諦めた料理人の道。8年ぶりの自分の店に「鳥取の食材を生かしながら、東北の味を知ってもらいたい」と意気込んでいる。

 店は「創作味処そろそろ」。鳥取市西部の鹿野町で1日にオープンした。ふるさとの石巻市ですし店を27年続けていた神山さんは、震災で店内がめちゃくちゃに。家族が精神的にショックを受けたため、地元を離れることを余儀なくされた。
 西へ移動する途中、妻の故郷である鳥取県に立ち寄った際、思いがけず県の支援を受け、鳥取市に住むことになった。
 被災後の厳しい状況や食文化の違いから「もう包丁を握ることはない」と思っていたが、市の臨時職員を務めていた時、公民館で料理教室を開催。喜ぶ参加者の姿に、料理の楽しさを再認識した。
 その後、市内の店舗を借りてワンコインランチなどを約6年間提供。「もう一度、自分の店を開きたい」との思いが芽生え、物件を探していたところ、国の登録有形文化財に指定されている江戸中期の古民家を店舗に使えることになった。地元の食材を使った創作料理のほか「ずんだ餅」や「油麩(ふ)丼」といった宮城県などの料理を出している。
 今もふと故郷の店や親戚のことを思い出し「個人的には震災から時間は止まったまま」と話すが、「ここで根を下ろしてやっていきたい」と決意を固めている。
 以前のランチ店で常連だった市内の会社員田中雅之さん(45)は開店当日に訪れ、「前の店と変わらずおいしかった。ボリュームもあっていい」と満足そうに話した。


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2019年09月17日火曜日


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