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「夫を返して欲しい」「せめて再発防止を」 遺族が手記 東仙台交番・警官刺殺1年

刺殺事件の現場となった仙台東署東仙台交番。事件後、防犯カメラが設置された=仙台市宮城野区

 仙台市宮城野区で発生した仙台東署東仙台交番・警察官刺殺事件から19日で1年となるのに合わせ、刺殺された清野裕彰警部補=当時(33)=の妻と父親が心境をまとめた手記を公開した。妻は「夫が帰ってくるような気持ちになる」と打ち明け、父親は「事件の教訓と反省から、せめて再発防止を」と訴えた。

 事件当日は、清野警部補と妻にとって3回目の結婚記念日だった。妻は「未(いま)だにひょっこり帰ってくるような気持ちになり(中略)ただただ夫、裕彰を返して欲しいです」と記し、警部補の死を受け入れられない胸の内を明かした。
 双子の娘は当時1歳半だった。生前の警部補が懸命に子育てしていた姿を思い出し「きっと良いパパになったんだろうな。悔しくてしかたがありません」と吐露する。
 「悲しい、寂しい、会いたいです」と現在の心境を率直な言葉でつづり、最後に再び「裕彰さんを返して欲しいです」と結んだ。
 父親は、警部補に最後に会ったのは事件の3日前、敬老の日だったという。1人暮らしの身を気遣い、別れ際に「健康にくれぐれも気を付けてね。また来るからね」と優しく声を掛けられたのが最後に交わした会話になったという。
 警部補の死について「犯人から身を挺(てい)して地域住民を守った。『あいつらしい』とあらためて感じました」と表現する。
 孫娘2人を抱き締めさせたい、との思いが募るという。将来、孫娘に「パパは警察官として立派に働いて殉職した」と教えてあげたいが、「辛(つら)い事です」と複雑な心境を明かした。
 加害者側の両親から謝罪や連絡がないことへの不満にも言及した。文末で「せめて再発防止を、私たちと同じ思いをする人たちがいなくなることを望みます」と強調した。
 妻と父親のコメントはA4判の用紙に印字され、弁護士を通じて報道機関に配られた。

[仙台東署東仙台交番・警察官刺殺事件]2018年9月19日午前4時ごろ、仙台市宮城野区東仙台2丁目の東仙台交番で勤務中だった清野裕彰警部補が、「お金を拾った」と訪ねて来た同市の元大学生の男=当時(21)=に剣鉈(けんなた)で刺され死亡。男も別の警察官の銃撃で死亡した。宮城県警は同年11月下旬、殺人などの疑いで男を容疑者死亡のまま書類送検し、仙台地検は送検容疑を全て認定した上で、不起訴処分とした。


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2019年09月19日木曜日


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