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原発の安全対策、責任はどこに 東電旧経営陣にきょう判決

東京電力福島第1原発

 東京電力福島第1原発事故を巡り、安全対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長勝俣恒久被告(79)ら東電旧経営陣3人の判決が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で言い渡される。8年半を経てなお福島県で4万人以上が避難し、東日本大震災をきっかけとした「震災関連死」が2200人を超える歴史的事故の責任の所在はどこにあったのか。識者は判決内容次第で広く社会に影響を与えるとの見方を示す。

 初公判は2017年6月。地裁は37回の審理で東電の担当者や地震、津波の専門家ら計21人の証人尋問と3人の被告人質問を実施した。
 審理では、東電が事故の3年前に高さ「最大15.7メートル」の津波が来るとする試算を把握しながら対策を保留した経緯などが明らかにされた。検察側は禁錮5年を求刑、弁護側は無罪を主張している。
 捜査は市民1万4716人による告訴・告発で始まった。東京地検は「巨大津波は専門家も想定していなかった」と2度にわたり不起訴処分としたが、検察審査会はその都度「起訴すべきだ」と議決。3人の強制起訴に至った。
 起訴状によると、3人は第1原発敷地を襲う津波を予測できたのに対策をせず、11年3月、原発事故で福島県大熊町の双葉病院患者らに長時間の避難を余儀なくさせ、44人を死亡させたなどとされる。

◎民事訴訟は過失認定続々/刑事裁判は厳格な証明必要

 東京電力福島第1原発事故の被害者が各地で提起した民事訴訟では、東電の過失を認める判決が相次いでいる。
 2017年3月の前橋地裁判決は、東電が「最大15.7メートル」の津波高を試算していたことを根拠に「東電は08年には実際に津波を予測していた」と指摘。他の地裁も、予測できたとする時期に幅はあるが過失を認定した結論は同様だ。ただ、刑罰を科す刑事裁判はより厳格な証明が必要とされる。
 組織ではなく個人の過失が問われる点も異なる。漠然とした不安を抱く程度ではなく、経営陣が事故を具体的に予測できたと言えるかどうかが判断のポイントになる。

◎切迫の度合い どう見るか

 元裁判官で刑事裁判に詳しい水野智幸弁護士の話 津波地震がどの程度切迫していたと見るかに懸かっている。現代は自動運転や生物工学など多くの科学技術が発展しているが、伴って生じるさまざまな未知の危険に企業経営者はどう対応しなければならないのか。社会に突き付けられた重い問いであり、判決の意義は大きい。

◎注意義務尽くす必要ある

 除本理史大阪市立大教授(環境政策論)の話 企業の経営者には、不確実な予測に接した際にリスクとコストをてんびんにかけたとしても、注意義務を尽くして正しく判断する責任がある。原発のようなリスクの大きい事業では、なおさらだ。判決内容によっては、国の原子力政策そのものにも広く影響を与える可能性がある。


2019年09月19日木曜日


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