宮城のニュース

<クレプトマニアの実情>繰り返される罪と病(下)再犯防止/治療姿勢 どう見極め

窃盗の再犯防止に特化したプログラムに取り組む福島自立更生促進センター=福島市

 昨年12月、仙台地裁であった常習累犯窃盗事件の判決公判。裁判官は「クレプトマニア(窃盗症)の自助グループに参加し、再犯に及ばないよう努力している」と述べ、被告女性(36)に懲役2年(求刑懲役3年)を言い渡した。

■向き合い方吟味

 累犯のため実刑になったが、酌量減軽された。弁護人の草場裕之弁護士(仙台弁護士会)は「治療に取り組む被告の姿勢が減軽につながったのではないか」とみる。
 関係者によると、治療の効果や被告の病気への向き合い方を吟味した判決が増えているという。
 常習累犯窃盗事件の弁護を過去に約150件担当し、窃盗症に関する論文を多く手掛ける林大悟弁護士(東京弁護士会)は「再犯防止の観点から、被告の努力を評価する傾向は歓迎する」と語る。
 判例が増え、裁判官の間にも「窃盗症は病」との理解が広がりつつある。
 東北の裁判所に勤務するある裁判官は「窃盗症というだけで情状を酌量することはないが、反省や治療効果などは考慮している」と言う。再び盗みに手を染めそうか否かの見極めが判決に影響すると言える。

■悪循環断ち切る

 2018年版犯罪白書などによると、窃盗を理由に刑務所に入所した人は全受刑者の3分の1を占める。13年に出所し5年以内に刑務所に戻った窃盗罪による受刑者は43.7%に上る。罪名別に見ると、再犯率は覚せい剤取締法違反の48.5%に次いで高い。
 出所と再犯を繰り返す悪循環をどう断ち切るか。更生現場が直面する課題だ。
 法務省仙台矯正管区によると、管区内では現在、青森、秋田、福島の3刑務所で窃盗防止のプログラムを実施。うち福島刑務所は16年から仮出所した人に一時的な生活の場を提供する同省の福島自立更生促進センター(福島市)や福島大と連携し、窃盗更生支援プログラムに取り組む。
 担当者は「プログラムが進むにつれ、受講生の顔つきが変わってくる」と強調する。ただ、これまでの受講者は25人程度にとどまる。それぞれの置かれた状況に応じプログラムを調整するため、対象人数が限られるのが悩みの種という。

[窃盗更生支援プログラム]受講者は保護観察官と約10回面談し、盗みをした時の気持ちや再犯しないために何が必要かを話し合う。今後の人生の目標と共に、結果を再犯防止計画に書き込み、出所後の生活につなぐことを狙う。服役中にスタートし、仮出所時期を過ごす福島自立更生促進センターで3カ月間、集中して行う。窃盗犯の再犯防止に特化した官民連携の取り組みで、全国で唯一という。


関連ページ: 宮城 社会

2019年09月25日水曜日


先頭に戻る