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高い学力で注目の秋田・東成瀬村、岩手・大槌の教員研修受け入れ 生徒は防災学習で交流

東成瀬中の2年生に「飛び込み授業」で数学を教える吉里吉里学園の教諭=5月、秋田県東成瀬村

 児童生徒の高い学力が全国から注目される秋田県東成瀬村が、東日本大震災で被災した岩手県大槌町の教育復興を支えている。大槌から教員研修を毎年受け入れ、授業力向上を強力に後押しする。東成瀬の中学生は大槌で防災学習をしており、鶴飼孝・東成瀬村教育長は「相互交流を通じて両町村の子どもたちの可能性を伸ばしたい」と話す。
 5月下旬、大槌町立の義務教育学校・大槌学園と小中教育一貫校・吉里吉里学園の2人の教員が村唯一の中学校、東成瀬中の教壇に立った。研修には両学園と町教委から計9人が2泊3日で参加した。
 両町村の教員が指導案を共同で作成し、チームティーチングで14人の2年生に数学の授業を実践した。授業の後は改善点を話し合った。
 大槌町には震災前、5小学校、2中学校があったが、4校が津波で被災。地震の揺れで校舎が使えなくなった学校もあった。教育環境の激変に伴い段階的に小中学校の統合が進められ、現在は大槌学園と吉里吉里学園に集約された。
 教育復興を模索する中、町は全国学力テストで優秀な成績を収め、各地から年に約600人が視察に訪れる東成瀬に着目した。
 2012年に東成瀬への先進地視察を始め、17年からは村教委の協力を得て「飛び込み授業」を東成瀬中か東成瀬小で行っている。
 大槌町の沼田義孝教育長は「東成瀬から大いに学び、大槌でも学力が向上しつつある」と手応えを語る。
 東成瀬の授業は「生徒ファースト」「児童ファースト」を重視する。教員はコーディネーター役に徹し、児童生徒の考えを引き出して対話を促す。教員の発問に全員が挙手し、「困った」「納得」「別の意見」など6種類の意思を示す「ハンドサイン」も特徴的だ。
 大槌町教委の米沢俊哉指導主事は「自学ノートや家庭学習の取り組みなど学ぶべきことが多い」と言う。
 東成瀬中は15年度から2年生が吉里吉里学園を毎年訪問してきた。津波被災地で震災当時の様子を聞き、手を合わせる。東成瀬中の大沼一義校長は「被災地に立つことで、自分のこととして震災を考えてほしい。感性の異なる海の子と山の子が交流する貴重な機会にもなる」と意義を語る。


2019年09月25日水曜日


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