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<手探りの自治>災害公営住宅は今(4)負担軽減/住民ら巻き込み工夫

健康維持のため、清水沢東災害公営住宅の集会所でダンスを楽しむ高齢者=塩釜市

 「わざわざ時間に合わせて集会所の鍵を開けに行かなくてもよくなった」
 200戸が並ぶ二本松市の石倉災害公営住宅で自治会長を務める田村智則さん(57)が、キーボックスのダイヤルを回しながら話す。

■鍵の管理楽に

 集会所の玄関にぶら下げてあるキーボックスは昨年6月、近所のホームセンターで買った。4桁の暗証番号を合わせれば、中に入っている鍵で集会所を開けられる。役員で事前に連絡を取り合い、鍵係を調整する手間が省けた。
 暗証番号は、学習支援団体など頻繁に使う外部の利用者を含めて約20人と共有する。集会所を使った際は記録用紙への記入を徹底し、年1回は備品をリストと照らし合わせる。
 田村さんは「利用者との信頼関係があれば、鍵の開け閉めに役員が立ち会う必要はない。働いている役員もおり、だいぶ楽になった」と説明する。
 自治会役員の負担の大きさを嘆く声は多い。住民の高齢化や担い手不足を考えれば、自治会活動の先細りは喫緊の課題だ。
 持続可能な自治会をどう構築するか。役員の負担を減らし、身の丈に合った運営を模索する動きも出ている。
 塩釜市の清水沢東災害公営住宅1、2号棟(計139戸)の住民が昨年4月に発足させた自治会「清水沢東会」はその一つ。会長の坂口節子さん(61)は「自分たちがやりやすい運営を心掛けている」と話す。
 例えば年中行事の実行委員会方式だ。夏祭りや芋煮会などは役員任せにせず、その都度、住民から実行委員を募る。一時的な担当であれば、住民も比較的協力してくれるという。

■料金制を導入

 副会長の福田由佳さん(37)も「役員だけで何でも背負うのは大変。みんなの手を借りながら楽しくやりたい」と前向きに語る。
 ただ、最初から順調だったわけではない。自治会発足前に支援団体が行ったアンケートでは、約4割が「(自治会ができても)入りたくない」と回答。参加意欲の低さが際立っていたが、運営方法を工夫して自治意識の醸成を図る。
 集会所を使った日常的な交流も自治会の活動にせず、外部の支援団体を積極的に巻き込む。今月は子どもカフェや高齢者の健康教室など11団体計21回の予定が入る。集会所の利用が活発になれば住民が参加する機会が増え、集会所を使う住民の固定化も避けられる。
 4月からは集会所の利用に料金制(3時間300〜500円)を導入。水道代などの維持管理費を利用者負担とし、自治会からの出費を抑えている。
 「みんなで補い合えば、自治会や役員の負担を減らせる。できる人ができることをやればいい」と坂口さん。自治会の活動を最小限にとどめ、地域コミュニティーとの緩やかなつながりに望みを託す。
(報道部・鈴木拓也)


2019年09月27日金曜日


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