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<手探りの自治>多様なつながり形成を(5完)インタビュー/東北工大 新井信幸准教授

あらい・のぶゆき 千葉大大学院博士課程修了。民間財団研究員を経て2009年4月から現職。専門は建築計画。仙台市のNPO法人つながりデザインセンター・あすと長町副代表理事も務める。川崎市出身。47歳。

 東日本大震災の災害公営住宅(復興公営住宅)が抱える課題は多岐にわたる。高齢化が進む中、住民にとって持続可能な運営の在り方とは。仙台市や塩釜市で災害公営住宅のコミュニティーづくりを支援する東北工大の新井信幸准教授に聞いた。(聞き手は報道部・高橋鉄男、鈴木拓也)

 −震災から8年半がたち、災害公営住宅で運営上の課題が噴出している。
 「自治会はコミュニティーづくりから集会所の鍵の管理まで求められているが、高齢化が進み、担い手の確保すら難しいのが現状だ。行政は『自治』を掲げ、さまざまな役割を自治会に押し付けているが『自滅』しかねない」

 −住民の「居場所」として重要な役割を果たす集会所も、十分に利用できていないケースがある。
 役割最小限に
 「自治会も茶話会やイベントを頻繁にできないし、鍵の管理の煩わしさや水道光熱費といった負担から集会所の利用に否定的な態度の自治会すらある。集会所の利用者が固定化し、広がらないのも課題だ」

 −解決のポイントは。
 「全国からのボランティア支援が一段落した復興期は、地域住民や外部団体に集会所を使ってもらい多様なつながりをつくることが重要だ。集会所の鍵の管理を暗証番号方式にして受け渡しを楽にしたり、利用者から利用料を徴収するなどの負担軽減策が必要になる」
 「自治会は義務と任意の取り組みを区別し、役割を共益費の徴収などに絞るミニマム(最小限)な運営を目指した方がいい。鍵の管理をNPOなどに任せることも一案だ」

 −孤独死も増える中、行政は住民主体の見守り活動を奨励している。
 支援が不可欠
 「いい面はあるが、回数も限られるし見守られたくない人もいる。孤独死が出れば『見守り活動をしていたのに…』と精神的なダメージを受けかねない」
 「本当に支援が必要な厳しい状況にある人は行政が見守る。高齢者にごみを玄関先に出してもらうなど、自治会は無理なく安否確認するのが望ましい。民間企業による乳酸菌飲料や新聞の宅配に伴う見守り活動なども活用し、多様なシステムを築いてほしい」

 −住宅では共益費の取り扱いにも悩んでいる。
 「将来必要な消耗品の交換費用を積み立てていない自治会があるほか、自治体によって費用負担の線引きに差もある。共益費の取り扱いや集会所の外部開放といった課題の解決には自治会に『自治』より『運営』のノウハウが求められる。運営が軌道に乗るまで外部のサポートが欠かせない」


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2019年09月28日土曜日


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