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村の歴史 能で発信 「大尽」屋敷跡に舞台 福島・葛尾できょう上演

能舞台が設置される葛尾大尽屋敷跡公園。蔵の基礎などが残る
個人所蔵の「松本家画像家譜伝」にある「松本家本宅略図」

 福島県葛尾村で28日、江戸時代に盛んに上演されていた能が復活する。村の商家で「葛尾大尽(だいじん)」と呼ばれた松本一族の屋敷跡に能舞台を設置。かがり火をたいて薪能などを上演し、村の歴史を内外に発信する。
 村史によると、約450年前に信州(長野県)から相馬藩に落ち延びた松本氏の先祖が、国境警備のため村に移り住んだのが一族の始まりとされる。
 その後、江戸時代に生糸や製鉄、木炭の取引で莫大な富を得て、大金持ちを意味する「大尽」として栄華を極めた。最盛期に三春藩主などを招き、能や狂言を上演していたことが村史に残されている。
 葛尾大尽屋敷跡は2006年に村の所有となり、07年に公園として公開。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う3年3カ月の全村避難によって荒廃が進んだが、村の歴史にスポットを当てようと今年に入って村一丸となって準備を進めてきた。
 村民や村商工会、復興交流館「あぜりあ」の職員らで実行委員会を組織。8月からは村民有志が、伸びきった草を刈るなどして屋敷跡の環境整備に取り組んできた。白河市の文化交流館「コミネス」から組み立て式の能舞台を借りて設置する。
 定員300人の座席は今月上旬に満席になった。当日は郡山、福島駅と村を結ぶバスを手配し、村外から訪れる観客に対応する。上演前には村内の史跡を巡るバスツアーなども行う。
 実行委副委員長の馬場弘至副村長は「能を通して村のあまり知られていない歴史を知ってもらい、新たな魅力を感じてほしい」と話した。


2019年09月28日土曜日


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