宮城のニュース

新設医学部の針路 発足4年東北医科薬科大/受け入れ態勢拡充急務

縫合の仕方を学ぶ医学部の4年生=仙台市宮城野区の東北医科薬科大福室キャンパス

■「県積極関与を」

 「1期生の卒業まであと2年。宮城県の奨学生が地域医療の真のスペシャリストとして活躍できるよう、積極的な関与が必要ではないか」
 12日に開かれた宮城県議会9月定例会本会議で、遊佐美由紀議員(56)が一般質問した。
 県側は「県内の医療機関での医師養成や、大学の取り組みを支援していく」と答弁。遊佐氏は本会議後、「もっと踏み込むべきだ」と焦りをにじませた。
 東日本大震災後の医療復興を目指し、2016年に発足した東北医科薬科大医学部。「創造的復興」を掲げる宮城県は新設を支援し、キャンパス整備に30億円を補助した。定員の半数以上は宮城県を含む東北6県と大学の奨学金を受け、卒業後、医師が少ない地域などの医療機関に一定期間勤務する修学資金制度を利用している。
 医師不足解消への期待が高い一方、受け入れ態勢の整備は途上にあり、キャリア形成の観点から解決すべき課題は少なくない。
 医学部発足から2年後の18年4月、若手医師に分野別に高度な知識や技術を求める新専門医制度がスタートした。宮城県内では必要な研修を受けられる病院の大半が仙台市内に集中し、10年の地方勤務が求められる宮城県の奨学生30人の受け皿が不足しかねない。

■キャリア形成も

 医療費抑制を目的に、厚生労働省が地域の病院再編を促す動きも表面化し、受け入れ先が先細る心配もある。
 宮城県の奨学生の医学部4年谷口優羽さん(22)=神奈川県出身=は「奨学金がなければ医師になる夢をかなえられなかった。被災地への貢献とキャリア形成を安心して両立できるようにしてほしい」と望む。
 国の新たな方針や専門医制度の問題も指摘される中、同大の柴田近・医学部卒後研修支援センター長(57)は「県や東北大と協議しながら受け入れ態勢の拡充を図り、早い段階で方向性を示したい」と対策を急ぐ。
 状況が激変する中、県や関係機関により地域ニーズに即した医師養成を求める声は少なくない。
 石巻市雄勝診療所長の長純一医師(53)は「高齢化が加速し、幅広い疾患や在宅ケアに対応できる総合診療専門医のニーズが下がることはない。県が研修プログラムの拡充を主導し、医師養成まで責任を持つべきだ」と提起する。
 病院再編を促す動きが進む一方、東北の多くの地域で、人口に対する必要な医師数を確保できていない。
 地域医療に詳しい城西大の伊関友伸教授(58)=行政学=は「地域に一定期間勤務して終わりでなく、住民に信頼され、長く定着する医師の育成が必要だ。専門性向上など、学生のモチベーションに配慮したキャリアデザインをいかに築けるか正念場だ」と指摘する。

[修学資金制度]1学年100人のうち55人が対象。宮城県が30人、大学が5人に1人3000万円を貸与。残る20人は大学が貸与する1500万円に加え、宮城県を除く東北5県の奨学金を併用できる。卒業後、東北各地の医療機関に8〜10年間勤務すれば返還が免除される。


関連ページ: 宮城 社会

2019年09月30日月曜日


先頭に戻る