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たかが2%、されど2% 消費税増税に被災地ため息

家族連れなどでにぎわう「かわまちてらす閖上」。消費税増税に不安の声も聞かれた=29日、宮城県名取市閖上

 東日本大震災後、2度目の消費税増税が被災地に重くのしかかる。10月1日に迫った税率10%への引き上げ。被災者の生活に負担が及ぶだけでなく、復興需要が去った地域経済にはさらなる停滞に不安が漂う。
 「たかが2%、されど2%。その差は大きい」
 宮古市の末広町商店街振興組合理事長で電気店を営む佐々木慶子さん(74)がため息をつく。
 街の復興は進んだが、近年は売り上げが低迷。震災前の状況に戻らない。「買い控えの傾向が強まるのではないか」。社会保障の充実のためなら仕方ないとも思うが、心配は尽きない。
 29日、名取市閖上の商業施設「かわまちてらす閖上」は家族連れなどでにぎわった。買い物に訪れた福島市の主婦石塚文子さん(68)は「出掛けるのを少し減らし、必要な物を見極めて買い物をしたい」と話す。
 施設は4月に念願の開業を迎えたばかり。出店する名取市の笹かまぼこ製造「ささ圭」の佐々木圭亮社長(67)は「全体的に客足は落ちるだろう。街が完全に復興していない中、厳しい場面が出てくる」と表情を曇らせる。
 事業者にとっては、新たに導入される軽減税率も悩みの種だ。陸前高田市の産直施設「産直はまなす」は、軽減税率対応レジの購入を諦め、リースの機材で対応する。国の補助金を活用しても負担が重いという。
 野菜や果物は軽減税率の対象で8%だが、花き類は10%。商品を持ち込む生産者に販売明細を示すためにも対応レジは必須だ。事務局の戸羽初枝さん(57)は「リースでも大変。人件費を減らさなければならないかもしれない」と嘆く。
 2度の延期を経て実施される5年ぶりの増税。被災者のささやかな暮らしに、暗い影を落とす。
 「たった2%でも増税は痛い」。福島県浪江町から避難し、福島市飯坂町の災害公営住宅に住む無職山田隆信さん(74)。自分で収穫したコメや野菜を食べていた生活は震災で一変。近くのスーパーで食料品を購入する日々だ。増税は年金暮らしの家計を直撃する。
 避難した知人に会いに行く交通費もかさむ。「増税でガソリン代が高くなれば、冠婚葬祭で知人宅を訪れるのも難しくなる」。出費の一層の切り詰めへ、頭を悩ませる。


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2019年09月30日月曜日


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