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大川小遺族の勝訴確定 石巻市と宮城県の上告棄却

東日本大震災の月命日に合わせ、慰霊碑に手を合わせる人が訪れた旧大川小=11日午後1時45分ごろ

 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に計約23億円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は11日までに、市と県の上告を退ける決定をした。学校の事前防災の不備を認め、市と県に計約14億3610万円の賠償を命じた昨年4月の仙台高裁判決が確定した。
 決定は10日付。市と県の上告理由は実質的に事実誤認や単なる法令違反を主張し、憲法違反や判例違反などを対象とする上告審の審理に該当しないとされた。全5裁判官一致の結論。
 高裁判決は、危機管理マニュアルの策定を全ての学校に義務付けた学校保健安全法から導いた「安全確保義務」を軸に、地域の実情に合わせた情報を独自に収集蓄積したマニュアルの整備や、津波ハザードマップの信頼性の検討を怠った学校や市教委の組織的な過失を認めた。
 市と県は上告理由で、ハザードマップで予見可能性を判断した過去の津波訴訟と、高裁判決の判断枠組みの乖離(かいり)を指摘。高裁がマニュアルに津波避難場所として記すべきだったとした学校から約700メートルの「バットの森」についても、避難場所として現実的ではなく不適当と主張していた。
 上告棄却を受け、仙台市内で記者会見した原告団長の今野浩行さん(57)は「確定判決が今後の精度の高い学校防災につながることを期待したい」と語った。
 亀山紘市長は「市の責任が問われたことを大変重く感じている。遺族には心からおわび申し上げたい」と述べた。村井嘉浩知事は「決定を厳粛に受け止める」と話した。
 大川小では震災による津波で児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった。19遺族は2014年3月に提訴。16年10月の仙台地裁判決は、津波襲来7分前の時点で児童を避難させなかった現場教員の過失を認め、市と県に計約14億2660万円の賠償を命じた。
 原告遺族と、市と県の双方が控訴。控訴審は、学校の事前防災の妥当性が主な争点となった。


2019年10月12日土曜日


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