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ラグビーW杯 釜石での試合中止 地元落胆も「安全第一」

周辺に倒木が散乱した釜石鵜住居復興スタジアム=13日午前9時50分ごろ

 岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで13日に予定していたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会のナミビア−カナダ戦は、台風19号の影響で中止となった。東北唯一の会場で行われる最後の試合だけに、地元の関係者は一様に落胆。それでも東日本大震災の教訓を踏まえ「安全が第一」と決定を受け入れた。
 W杯日本大会組織委員会が中止を発表したのは午前6時すぎだった。公共交通機関の乱れや土砂災害の可能性などがあり、観客や選手の安全を確保するのが難しいと判断した。
 台風一過の釜石は朝から晴れ渡ったが、降り始めからの総雨量が300ミリを超えた市内は土砂崩れや冠水により各地で道路が寸断。市街地は広範囲にわたって周囲の山から流れ出た砂や泥に覆われた。
 スタジアム前ではキックオフ予定時間の午後0時15分ごろ、大勢のファンらが集まり釜石名物の大漁旗を掲げた。
 カナダから応援に訪れた会社員ジョージ・マヌハスさん(24)は「災害はわれわれにコントロールできることではない。安全性を考えれば仕方がない」と理解を示した。友人の銀行員エバン・マーシェイさん(21)も「代わりに震災から復興した釜石を見て歩きたい」と気持ちを切り替えた。
 青森市の教員猪股歳生さん(46)は「震災後に陸前高田市などでボランティアをした。元気になった岩手を見たかったが残念。誰も責められない」と語った。
 観戦客で満室だった市内のホテルは、驚く宿泊客の対応に追われた。従業員の川崎大介さん(37)は「この日のために万全の体制を敷いていた。まち全体の機運が高まっていたので、迎える側としてもやるせない」。
 野田武則市長は「残念だがやむを得ない。安全最優先を発信することも震災を経験した釜石の役割。被災地でW杯を開催する意義の一つだ」と強調した。


2019年10月14日月曜日


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