宮城のニュース

宮城・大郷の吉田川堤防決壊 以前から危険性指摘 対応要望の中またも被害

決壊した吉田川(左)の堤防=14日午後3時40分ごろ、宮城県大郷町粕川地区

 台風19号の猛烈な雨で宮城県大郷町粕川の吉田川堤防が約100メートルにわたり決壊した現場は、住民が以前から危険性を指摘していた場所だった。町は毎年、国土交通省に堤防の補強やかさ上げを要望してきたが対応は進まず、深刻な被害をもたらした。
 住民によると、決壊した堤防は他の場所よりも高さが約1メートル低く、1986年の8.5豪雨、2015年の関東・東北豪雨でも越水などの被害が出たという。
 大郷町が住民と共に、対策の強化を国に求めてきた中で起きた堤防の決壊。浅野辰夫総務課長は「強く訴えてきたが、こうした事態になり悔しい」と語る。
 決壊場所の目の前に自宅がある農業生産法人社長高橋敏雄さん(67)は「国交省は大丈夫と思って何もしなかったのだろうが、われわれの懸念は現実になった。『想定外』『申し訳ない』では済まされない」と憤る。
 現場の上流には身洗川や複数の用水路が流入する。児玉守夫さん(70)も「ここは川が合流する危ない場所なんだ。前から分かっているんだから、対策をしないといけなかった」と批判した。
 決壊した堤防の特殊性は専門家も指摘する。14日視察した東北大大学院工学研究科の田中仁教授(水工学)は「現場と前後の堤防を比べると、決壊部分だけ高さが低く堤防の幅も狭い特殊な構造になっていて、不連続性が確認できた」と語った。
 自宅が床上浸水した農業熊谷賢一さん(67)は「こんなに水害が多いのでは、息子に家を継いでほしいなんて言えない」と悔しそうに話した。
(栗原支局・門田一徳、加美支局・佐藤理史、富谷支局・藤田和彦)


関連ページ: 宮城 社会

2019年10月17日木曜日


先頭に戻る