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台風19号大きな爪痕 岩手沿岸の秋サケ漁に暗い影 迫る最盛期、復旧急ぐ

濁流でえぐられたいけすの土台部分=16日午前9時25分ごろ、宮古市重茂漁協のサケふ化施設

 台風19号の猛威が、これから本格化する岩手県沿岸の秋サケ漁に暗い影を落としている。一般社団法人県さけ・ます協会のまとめでは16日現在、網やくいが流されるなどして沿岸部29カ所の捕獲施設が全壊した。本州一の「サケのまち」宮古市では、漁協関係者が被害拡大の恐れに表情を曇らせた。
 宮古市重茂漁協のサケふ化施設には、重茂川から大量の土砂が流入した。250万〜300万匹の稚魚を育成するいけすの土台部分は濁流でえぐられ、使用不能となった。
 1700万匹を育成できる別のいけすは使えるが、採卵作業の最盛期は11月と目前に迫る。担当者は「東日本大震災後、やっとサケが捕れるようになってきたのに、また減少に転じるかもしれない」と不安を募らせた。
 重茂地区には、大量の流木がたまって出船できない漁港もある。重茂漁協の前川清参事は「全体の被害の調査はこれから。とにかく経験したことがない事態だ」と言う。
 宮古湾に注ぐ津軽石川。津軽石さけ養殖保護組合は台風前に河口に遡上(そじょう)したサケ1000匹を捕獲し、今季の秋サケ漁が既に始まっていた。台風で漁獲用の網を張るくいが流され、これからの漁ができなくなった。
 復旧に必要な重機が確保できず、作業開始の順番を待っている状態。中断期間が長引けば稚魚の育成にも影響しかねないという。
 山野目輝雄組合長は「震災から8年が過ぎてこれか、という思いだった。サケの遡上のピークを迎える前に施設を復旧させ、稚魚の育成に影響が出ないようにしたい」と話した。
 県さけ・ます協会は「そもそもサケの漁獲量が年々減少しており、影響がどれほどか読めない。サケの遡上は11〜12月にピークを迎える。少しでも早く復旧できるよう取り組みたい」としている。

 岩手県によると、判明している県内の漁業関連の被害は16日現在、宮古市、洋野町でサケのふ化場が4カ所が浸水。宮古、久慈など5市のサケ捕獲施設6カ所で漁具が流失した。
 宮古市、大船渡市などで水産施設24棟が倒壊し、漁船32隻が破損、転覆した。輸送施設7カ所の港湾道路に土砂が堆積するなど現時点で被害額は308万円に上っている。


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2019年10月17日木曜日


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