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鉄路歩き対岸に 橋崩落し集落孤立 矢祭・高地原

崩落した高地原橋=16日、福島県矢祭町

 台風19号に伴う増水で福島県矢祭町内川の久慈川に架かる橋が崩落し、高地原地区の11世帯28人が孤立状態になっている。橋は同地区と幹線道路をつなぐ唯一の生活道路。併設の水道管も破損し、断水が続く。町は16日の説明会で復旧に時間がかかる見通しを示し、住民は不安を募らせる。
 崩落したのは久慈川沿いを通る国道118号につながる幅約5メートル、長さ約80メートルの高地原橋。50年近く、集落の暮らしを支えた。橋脚が折れ、本体は三つにちぎれて川に落ちた。
 近くでラーメン店を営む仲沢淳さん(56)は「夏は川風が気持ち良い所。ここまで増水するとは思わなかった」と唇をかむ。アユ釣りの常連客でにぎわった店内は大人の胸の高さまで浸水。店再開のめどは立たないという。
 橋の崩落によって、高地原地区には車で入ることができなくなった。住民らは不通になったJR水郡線の鉄橋を徒歩で渡り、対岸に出ている。
 「夕方になると暗く、街灯もない。冬場は凍結も心配。いつまでも鉄橋を渡るわけにはいかない」。会社員松本美佐子さん(44)は職場を早退し、なるべく早く帰宅せざるを得ないという。
 高地原地区は台風19号で家屋の被害はなく、電気も使える。水やガスなど物資の搬送は町が支援する方針だが、給湯器が使えず入浴できない。火災や急病人への対応も不安だ。
 町は16日、地区内で説明会を開催。佐川正一郎町長によると、仮設橋の設置には約半年を要し、水道の復旧はめどが立たないため、地区外の町営住宅への一時的な避難を提案した。水郡線についてはJR東日本水戸支社が、1カ月以内に高地原地区を含む部分再開の意向を示しているという。
 説明会終了後、会社員石井耕民さん(68)は「JRが再開したら鉄橋を歩いて渡れなくなる。判断する時間は限られている」と困惑した表情を見せた。(会津若松支局・玉應雅史)


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2019年10月17日木曜日


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