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犠牲者ゼロの大郷・中粕川 地区住民の9割超が避難

避難を知らせる旗が掲げられた大郷町粕川の住宅=14日午後2時10分

 台風19号の豪雨で甚大な被害を受けた大郷町粕川の中粕川地区は、町から避難指示の出た12日深夜には、住民のほとんどが町の指定避難所などに移動を終えていた。長年、水害に悩まされてきた経験から住民の防災意識が高く、吉田川の堤防決壊という大災害に遭いながら犠牲者は出なかった。

 中粕川地区は吉田川左岸沿いに広がり、旧粕川小もあった地域の中心地。105世帯311人が住む(9月現在)。
 町が避難準備・高齢者等避難開始の防災情報を出した12日午後2時10分以降、中粕川行政区の班長6人が各戸に連絡して家族の避難先を確認し、集約した状況を行政区長に伝えた。「避難時は自宅前に目印の旗を掲げる」との取り決めも実行され、早期把握の一助になったという。
 この時点で避難した6人家族の会社員水上彩さん(32)は「94歳のおじいさんがいるので町内の親戚の家に避難した」と振り返る。
 午後10時には「吉田川が氾濫危険水位到達」との情報が町から流れ、消防団員11人は自宅に残っている人や明かりのついている家を回った。団員の熊谷宏弥さん(42)は「説得して避難してもらった人もいた。残ったのは10戸以下だった」と証言。住民の9割超が避難したことになる。
 中粕川地区は、1986年の8.5豪雨、2015年の関東・東北豪雨などでも浸水被害に見舞われた水害多発地域。住民は自主防災組織をつくり年1回、地域ぐるみで避難訓練を実施している。
 ただ、住民の一部は台風通過後の13日早朝に自宅へ戻った。午前7時50分に吉田川の堤防が決壊し、自宅に取り残された数人がヘリコプターで救助された。
 中粕川行政区長の赤間正さん(68)は「訓練は生きたが、避難所から戻った人がいたというのは把握できなかった。人的被害がなかったのが幸いだった」と語った。


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2019年10月19日土曜日


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