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4年前の豪雨の教訓生きる 宮城・丸森五福谷で連絡網活用、人的被害ゼロ

自宅(中央奥)に向かい土砂が堆積した道を歩く佐久間さん=16日午後0時20分ごろ、宮城県丸森町五福谷

 台風19号による豪雨で、宮城県丸森町五福谷(ごふくや)地区では阿武隈川の支流が氾濫し、家屋4戸が流されるなど大きな被害を受けた。人的被害は確認されておらず「避難しなければ死んでいた」と住民は口をそろえる。4年前にあった豪雨の経験を基に、住民たちは互いに協力して災害対策を進め、多くの命を守った。
 町役場から約2キロ南の山あいに位置する同地区は、普段は流量の少ない五福谷川に沿って約100戸が点在する。
 16日に記者が入ると、舗装された道路に土砂や岩が積み重なり、山からの水が川のように勢いよく流れていた。大量の木や土が流れ込み、1階部分が見えなくなった家屋もあった。台風19号の被害で、穏やかな集落の風景は一変した。
 平屋の自宅が1メートル以上土砂に埋まった会社員小野一男さん(63)は「危なかった。これから大変だけど、命がなきゃどうしようもないからね」と語る。
 「隣近所の密なコミュニケーションが犠牲を防いだ」。民生委員の佐久間新平さん(70)が振り返る。
 佐久間さんは12日午後、異常な大雨に危険を感じ、避難準備を始めた。近隣の住民にも、家に行ったり電話をかけたりして避難を呼び掛けた。
 午後7時すぎ、地区にある集会所に十数人が身を寄せた。周辺は浸水し水位が上がり、さらに高台の家に移り難を逃れた。
 2015年9月の宮城豪雨で、五福谷川は脇の道路と同じ高さまで増水し、氾濫寸前だった。宮城豪雨を上回るレベルの大雨に備え、地区では近年、災害への備えを充実させてきた。
 今年4月に全戸の緊急連絡網をまとめ、地区の一部で訃報を連絡網で伝えるようルールを定め、実際に利用してきた。佐久間さんは「絵に描いた餅では意味がない。普段から連絡網を使っていたおかげで、今回も活用できた」と言う。
 地区では、新年会や防災組織の会合で住民が集まるたびに避難場所を確認するなど、防災意識の向上を図ってきたという。佐久間さんは「町全体で被害がなくなるよう、他地区にも取り組みを広げたい」と話す。
(鈴木悠太)


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2019年10月20日日曜日


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