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「復興の象徴」道の駅被災 宮古・田老、震災以来の惨禍 一面の泥に関係者落胆

施設周辺の泥を洗い流す店舗従業員ら=18日午後2時ごろ、宮古市田老の「道の駅たろう」
ようやく駐車場に積もった泥の撤去を終えた「道の駅たろう」=18日午後3時ごろ、宮古市田老

 東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮古市田老地区が再び、惨禍に見舞われた。地元住民が「復興の象徴」と呼ぶ「道の駅たろう」は、台風19号の豪雨で水浸しとなり、一面泥に覆われてしまった。営業再開に向けて後片付けは急ピッチで進むが、関係者の落胆は大きい。
 震災前の地区中心部に立地する道の駅は、2016年に仮営業が始まった。地区の復興と足並みを合わせるように施設数を徐々に増やして18年4月、本格開業にこぎ着けた。しかし−。
 13日未明から降り続いた台風豪雨で近くを流れる荒谷沢(ありやのさわ)川が越水。全10施設が最大約1メートル浸水した。駐車場は約15センチの泥に覆われ、台風襲来から1週間を経た今も道路脇には流木が散乱している状態だ。
 道の駅の一画では観光客に震災語り部を紹介する「たろう潮風ステーション」が被災した。
 事務所内の惨状を目の当たりにした防災ガイドの小幡実さん(63)は「津波で自宅が流され、やっと生活が落ち着いてきたと思っていた。生きることにも半分うんざりしてくる」と肩を落とす。
 1948年創業の「善助屋食堂」も店内の施設が壊れ、営業再開のめどが立たない。
 以前の店舗は津波で流失。営業再開を熱望する地元住民に励まされて再起したが、厨房(ちゅうぼう)を切り盛りする赤沼秋子さん(67)は「震災後は頑張って復興しなきゃと思ったが、今は力も入らない」と悲嘆に暮れる。
 19日の宮古は再び雨が降りしきり、市は全域に避難勧告を発表。道の駅の片付け作業も中止になった。市田老総合事務所によると、各施設の消毒作業は数日で終了する見通しで、準備が整った施設から順次再開する。
 潮風ステーションは既に、少人数のグループに限って被災地ガイドを再開している。産直施設「とれたろう」は21日、一部の営業を再開する。
 道の駅駅長の畠山一伸さん(55)は「田老は災害と共に生きてきたまち。みんなまた立ち上がれるはず。できるだけ早く、元の形で営業したい」と震災以降、苦楽を共にしてきた仲間たちを励ました。


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2019年10月20日日曜日


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