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宮城・丸森筆甫地区の住民結束、孤立を解消 道路復旧、食料分け合い…自立の精神生きる

自力で復旧させた道路を補強する住民たち=17日午前10時45分ごろ、丸森町筆甫

 台風19号で主要道路が寸断された宮城県丸森町の筆甫地区は、住民が協力して道路を直し孤立状態を解消した。道路が復旧するまでの間は、被災を免れた住民が避難所に食料を届けた。地理的に不利な中山間地の暮らしで培われた自主自立の精神と強い結束力が、非常時に生かされた。
 「砂利を流してくれ」。17日午前10時すぎ、大型特殊免許を持つ鷲ノ平(わしのひら)集落の土木作業員渡辺孝晴さん(67)が重機を操り、地域住民と協力してぬかるんだ路面を補強していた。
 復旧作業の現場は、筆甫の中心部に抜ける町道。倒れた電柱や木で完全にふさがれた。住民自ら倒木をチェーンソーで切り、波打ったアスファルトを重機ではがし、台風上陸から4日目の16日には通れるようにした。
 鷲ノ平集落は8世帯あり、自宅が被災しながら地域の復旧を優先した住民もいた。行政区長の引地国夫さん(72)は「役場に頼る前に自分たちでやれることはやる。自主自立の精神をみんな持っている」と語る。
 筆甫地区全体の人口は、244世帯544人(8月末現在)。台風で町中心部につながる県道など多くの道路が寸断され、全域が孤立状態に陥った。
 食料不足が懸念されたが、乾物やコメを保管する兼業農家が多く、大きな混乱はなかった。被害が大きかった北山集落では、住民が豚汁やカップ麺などを避難所に届け、自宅が全壊した被災者を支えた。
 地区全域を巡回する移動販売は16日に復活し、生活の困りごとを尋ねながら各戸を回っている。
 自治組織「筆甫地区振興連絡協議会」の吉沢武志事務局長(42)は「簡単に外に出られない土地柄で、もともと助け合う文化がある」と地域の特長を説明する。
 住民が団結して臨んだ東京電力福島第1原発事故の賠償請求などを通して、結束はさらに強まった。吉沢さんは「台風でも筆甫の住民は心が折れず、自主的に取り組めた」と胸を張る。
(鈴木拓也)


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2019年10月21日月曜日


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