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宮城・大郷で犠牲者ゼロ 要因は水害に強い危機感や行政・消防団の共助

倉庫が流されたという現場で調査する佐藤准教授(右)=20日午前11時30分ごろ、宮城県大郷町粕川

 台風19号の大雨で吉田川の堤防が決壊し、甚大な浸水被害を受けた宮城県大郷町で犠牲者ゼロだった要因に関し、東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は21日、同町での現地調査を基に「住民に河川氾濫のメカニズムが染み付いている上、行政や消防団の公助、共助も奏功した」との見解を示した。

 現地調査は20日、川からあふれた水で住宅や田畑が覆われた大郷町粕川の中粕川、土手崎の2行政区(計139世帯434人)を巡り歩いて実施。
 30〜80代の住民ら7人に聞いたところ、多くの人がアイオン台風(1948年)や8.5豪雨(86年)、関東・東北豪雨(2015年)などの被害の記憶に言及。「大雨のたびに浸水し『堤防が切れる(決壊する)』とひやひやしていた」「洪水の都度堤防が強化されるが、そうでないところが次に切れる」などの声があった。
 強い危機意識を背景に、地域の積極的な防災活動ぶりもうかがえた。
 中粕川自主防災組織が作ったラミネート版防災マップには避難場所やブロック塀のある箇所、要支援世帯などを明記し、吉田川の水位を確認する具体的な手順も記載。年1回の避難訓練で「避難しました」と記した安否確認用の旗を掲げる要領も確かめてきた。
 大郷町は町内全22行政区に自主防災組織の設立を促し、町内全戸に防災行政無線の戸別受信機を配備。町消防団は、避難の呼び掛けと同時に行政区との連携で確実に安否確認を進めた。
 消防団の鈴木安則団長(61)は取材に「水の怖さや被災経験が語り継がれ、関係者の役割分担を明確にして災害に備えてきた」と話した。
 佐藤准教授は「『外水氾濫(河川の水が堤防を越えて流れ込む洪水)リテラシー』とも呼ぶべき意識の高さを感じた。詳しく調査し、住民の命を守った災害文化を発信したい」と語る。


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2019年10月22日火曜日


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