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浸水前に全員避難 南相馬の特養ホーム、月内帰還へ復旧急ぐ

居室の洗浄や消毒に追われる長寿荘=22日午後2時30分ごろ

 台風19号で河川氾濫の危険が迫った12日夜、福島県南相馬市原町区の特別養護老人ホーム「長寿荘」は床上浸水の直前に全ての入所者76人を避難させた。要介護度が4を上回る入所者が多かったが、初の全員避難で人的被害はなかった。清掃や消毒を行い、今月中に入所者が戻れるよう急いでいる。
 12日は午後から雨脚が強まった。施設のすぐ北側を流れる新田川が夜に入って氾濫危険水位を超え、周りを囲む細い水路もあふれそうになった。
 施設がハザードマップで浸水域に入っていることもあり、運営する社会福祉法人の常務理事で施設長の志賀敏伯さん(68)は避難を決断し職員を招集。午後8時、車いす対応の車両4台に入所者を乗せ始めた。
 洪水時災害協定を結んでいる市内の介護老人保健施設との間を5往復し、全員を避難させた。終えたのは午後9時半だった。
 「車いすを載せたり、抱えてシートに運んだりと苦労した」と志賀さん。施設に戻り、各部屋を見回っていた午後10時ごろ、3方向以上から水が施設に入ってきた。あっという間にくるぶしほどに上昇した。
 危険を感じて車で施設を離れたが、近くの交差点で水にはまって立ち往生。ドアを押し開け、脱出した。
 翌朝、水が引いて施設を確認しに行くと多床棟や個室棟、ショートステイ棟、デイサービス棟、事務室など全てが床上浸水し、泥水が最大で23センチ上がっていた。変圧器や電子機器、入所者の小物やベッドの脚部などに被害が出た。
 施設では連日、職員らが泥のかき出しや洗浄、消毒作業に追われている。志賀さんは「入所者は体育館などに避難できない。環境が変わってつらい思いをさせているが、一日も早く復旧させて戻したい」と話した。
(佐藤英博)


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2019年10月23日水曜日


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