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台風19号で被災、震災仮設に再入居 岩手・山田町田の浜 落胆隠せぬ住民

東日本大震災で整備した仮設住宅に入居するため、室内を掃除する田の浜地区の住民=23日午前10時5分ごろ、岩手県山田町の船越第6仮設団地

 台風19号の大雨で住宅地が浸水した岩手県山田町田の浜地区で、被災住民が東日本大震災で整備された仮設住宅への転居を余儀なくされている。中には仮設住宅への入居は2度目という住民も。繰り返される厳しい現実に、落胆の色を隠せない。
 田の浜地区から約1キロ山あいに入った船越第6仮設団地。転居を決めた主婦昆野卓子さん(58)が23日、部屋の清掃をしていた。
 前回は津波、今回は台風と昆野さんにとって仮設住宅での生活は2度目となる。「何回も繰り返すなんて。本当につらい」
 自宅は津波で全壊し、5年前に再建したばかり。万が一に備えて土台をかさ上げしたにもかかわらず、2階建ての自宅は1階部分が約1.6メートル浸水。夫と2人でようやく取り戻した平穏な暮らしは、一夜にして奪われた。
 台風直後は自宅の泥かき作業に懸命だった。だが、日がたつにつれて虚無感が増していく。「家はどこまで直せばいいのか。何をどうすれば…」。不安が次々頭をよぎる。
 田の浜地区では、津波対策のために整備した堤防が雨水や沢水をせき止め、広範囲が水浸しになった。被害は全壊13戸、大規模半壊16戸、半壊25戸に上る。
 町は被害が大きかった住民を対象に、仮設住宅への入居の意思を確認。仮設住宅の空き室39戸に対して28世帯(32戸)が入居を希望しており、既に27世帯(30戸)が手続きを済ませた。
 町は震災後、田の浜地区を含む船越地域周辺に仮設住宅団地7カ所を整備した。このうち第6仮設団地は最後まで残っていた唯一の団地だ。震災復興整備事業は終盤に差し掛かっており、11月には解体に着手する予定だった。
 無職佐々木ヤさん(83)も家族と仮設住宅への転居を決めた。自宅は震災の津波より大きな浸水被害を受け、家電製品や衣類を廃棄せざるを得なかった。
 仮設住宅での避難生活を前に「年末年始は自宅に戻って過ごしたい」。掃除の手を休めて一人、つぶやいた。(佐々木貴)


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2019年10月24日木曜日


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