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文化財レスキュー 歴史守れ 福島県、本宮市に専門家チーム派遣 水没古文書を洗浄、「治療」も

水に漬かった古文書をブルーシートに並べ、泥を払う洗浄作業が施された=23日、本宮市のサンライズもとみや

 福島県は台風19号で被災した各自治体に、文化財の洗浄などを手掛ける専門家チームを派遣している。水没した古文書は特にカビが発生しやすく、対策が急がれる。県は今回の経験も踏まえて来年度、災害時の文化財保護に関する相互応援協定を全59市町村と結ぶ方針だ。
 浸水被害が相次いだ本宮市の多目的ホール「サンライズもとみや」で23日、ブルーシートの上に数百点の古文書が並べられた。商家の出納帳、太平洋戦争の召集令状など市民が寄贈した江戸〜昭和初期の資料。展示・保管していた市歴史民俗資料館が水に漬かり、泥水で汚れてしまった。
 県は23〜25日、文化財課の担当者と県美術館、県博物館、県文化振興財団の職員ら10人を派遣し、古文書の洗浄を実施。キッチンペーパーで水分を吸い、カビを防ぐエタノールを噴霧した。既にカビが発生している場合、エタノールに漬ける「荒療治」も施した。
 チームは資料館の片付けも手伝い、23日は敷地内のプレハブ倉庫から、まだ水が滴る発掘調査の記録ファイルを運び出した。同館の長谷川正・副専門学芸員は「文化財の扱いに慣れた専門家が来てくれて非常にありがたい」と感謝した。
 県は17日、各市町村に支援の要否を照会。本宮市に加えて田村市からも要請があり、28日以降にチームを派遣する予定という。
 現在、県は災害時の文化財保護の態勢を強化するため県と全59市町村、福島大などの研究機関との間で結ぶ相互応援協定の準備を進める。東京電力福島第1原発事故後、関係機関が連携して避難区域の文化財を運び出した「文化財レスキュー」を発展させる。
 県が窓口となって自治体や研究機関に支援を募り、現地に専門家を派遣するスキームを構築する。文化財課の担当者は「協定は来年度の締結が目標だが、台風19号の対応は図らずも予行演習のような形になった」と話した。
(関川洋平)


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2019年10月26日土曜日


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