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町の集落移転案に評価 吉田川決壊の大郷・中粕川地区で住民懇談会 費用負担に懸念も

集落移転試案を住民に示す田中町長

 台風19号の大雨による吉田川の堤防決壊で大規模被災した大郷町粕川の中粕川地区の復興に向け、町は26日、新街区を形成する町の試案に関する住民懇談会を、同地区と隣接する土手崎地区の町内2カ所で開いた。試案は水害への備えやコミュニティー維持などを理由に集落移転を伴う内容。評価する声が出た一方、費用負担への懸念も示された。
 中粕川地区は105世帯311人が居住。水害常襲地帯で今回も広範囲に被害が及んだため、町は「大雨のたびに水害を恐れるのは終わりにしたい」と試案を作成。集落を吉田川から離れた北側隣接地に移して住宅用地や農業施設などを整備、川沿いを更地にして防災・減災区域とする方針を示した。
 町公民館中粕川分館などであった懇談会で田中学町長は「試案は議論を始めるためのたたき台。若い人を含めて住民の意見を聴き、復興の方向性を協議したい」と述べた。
 会には地区住民ら計約130人が参加。「若い世代には『ここには住みたくない』との思いが強く、安心できる所に集団移転できるのはいい」との声が出た。「堤防を強化すれば移転しなくてもいい」との指摘や高台移転の提案もあった。
 自宅再建を検討する人からは「応急修理に費用がかかり、移転となればさらにかかる」との声も。完成年数への質問も多く、田中町長は5、6年程度で終わらせたいとの考えを示した。
 会社員千葉隆さん(54)は「苦渋の選択だが移転は現実的な話と理解している。町には(新街区形成の)具体的なビジョンを示してほしい」と話した。介護士志野信子さん(59)は「安全な所に移りたいが、同居する80歳の母が残りたいようで説得が大変になりそう」と語った。
 町は今後、対面アンケートで住民の意向を個別に確かめ、協議会組織をつくって検討を進める。


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2019年10月27日日曜日


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