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台風襲来の前日に全員避難 宮城・大崎の老人ホーム、岩手・岩泉豪雨の教訓生かす

浸水で廃棄を余儀なくされた電動ベッドを片付ける大友さん。早めの避難が入所者の安全確保につながった=大崎市鹿島台の「福祉の杜」

 台風19号豪雨で上流の吉田川が決壊し、水没した大崎市鹿島台志田谷地地区の有料老人ホーム「福祉の杜」は、台風襲来前日の12日に入所者全員を避難させ、全員の安全確保につなげた。3年前に岩手県岩泉町の豪雨被害で高齢者施設が被災した教訓を踏まえ、防災マニュアルに従って早め避難の手順を定めていた。

 老人ホームには台風19号通過の際に80〜98歳、要介護3〜5の10人が入所。風雨の被害を受ける可能性が高まったため、スタッフが11日のうちに入所者の衣服などをまとめ、いつでも避難できる態勢を整えた。
 市が高齢者らに対する避難開始を出した12日午後3時、約8キロ離れたJR鹿島台駅近くの関連施設に移動した。入所者8人は車いすだったため、役職員10人が車5台を出して対応した。
 13日朝に吉田川が決壊し、志田谷地地区は185世帯が水没。13、14日には家屋2階などに取り残された住民51人が自衛隊のヘリなどで救出された。
 老人ホームも事務所など木造2階の1階部分が、最大で1メートル50センチ浸水した。電動ベッドや寝具、電化製品、紙おむつなどの備品は水に漬かったが、職員を含めて全員が無事だった。
 2016年8月の台風10号豪雨により岩泉町の高齢者グループホームで9人が死亡したのを受け、老人ホームは県の指導に従い、防災マニュアルを18年5月に改訂していた。
 水害時の対応として、(1)前日からの情報収集(2)避難指示がなくとも危険と判断したらすぐ避難(3)安全な避難ルート確認−を定めた。訓練を重ねた成果が、迅速な初動につながった。
 運営する株式会社「福祉の杜」の大友正社長(72)は決壊直後の13日朝、老人ホームに濁流が押し寄せ、ごう音とともに渦を巻いている様子を目撃した。
 大友さんは「もし避難させていなかったら命の危険もあった」と振り返る。「介護を必要とするお年寄りなので、取り残されたらヘリやボートによる救出も難しい。早めに避難できて本当に良かった」と話し、胸をなで下ろした。(小島直広)


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2019年10月28日月曜日


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