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浸水の宮城・丸森病院、17日ぶり再開 「地域の誇り」住民感謝

外来診療を再開した丸森病院。特設の問診所は朝から混み合った=28日午前9時20分ごろ、宮城県丸森町

 台風19号による浸水被害で休診していた宮城県丸森町の国民健康保険丸森病院が28日、17日ぶりに外来診療を再開し、住民は町内唯一の病院の復旧に胸をなで下ろした。一方、1階が浸水した影響で大型の医療機器が使えず、往診や入院患者の受け入れは11月以降になる見込み。
 午前8時半の外来受け付け開始前から住民約20人が訪れた。被災や避難生活でストレスが高まっている住民に配慮し、1階の待合室の一角に臨時の問診スペースを設けた。医師による診察は入院病床がある3階で行った。
 同町の北村一男さん(85)は「病院も水に漬かり大変だったのに、よくぞ再開してくれた。地域の誇りだ」と職員の労をねぎらった。
 大友正隆院長は「多くの患者から励ましの声をもらっている。医療機能を一日でも早く回復し、期待に応えたい」と話した。
 台風19号の襲来に備え、病院では11日夜から事務職員や医師ら約10人が院内で待機した。浸水は12日未明に始まり、床上15センチまで水に漬かった。1階にある医療機器やパソコンを2階に運び込んだが、大型の磁気共鳴画像装置(MRI)などが被害に遭った。
 1階の調理室も浸水したほか、水道やボイラーが使えず、入院患者56人を近隣の病院や老人施設などに移した。
 同病院に隣接し、約1.5メートル床上浸水したサイカ調剤薬局丸森病院前店も28日、仮設店舗で営業を再開した。

◎被災した職員奔走「住民の生活支える」

 復旧への一歩を踏み出した丸森町の国民健康保険丸森病院。早期再開を支えているのは、自らも被災した職員たちだ。
 「何とか再開できた」
 17日ぶりに外来診療を再開した28日朝、小野良孝事務長がほっとした表情を浮かべた。台風19号の直撃を受けて以来、入院患者の転院や床上浸水した院内の清掃などに奔走してきた。
 町内にある木造2階の自宅と車庫には、裏山から大量の土砂がなだれ込んだ。病院復旧に追われ、今も被害の全容は把握できず、自宅の修繕に手が回らない。
 幸い、自宅にいた妻や母、長男は無事だった。小野さんは「まずは住民の避難生活を支えるのが第一だ」と自分に言い聞かせた。
 看護師や事務職員の多くも自宅が被災し、避難所から通う人もいる。病院再開に向けて後片付けなどに尽力してきた50代の女性看護師は「みんな大変な状況だが、何とか支え合っていきたい」と話した。
 大友院長は「多くの支えにより診療が再開できて感無量。地域全体で一致団結し、住民に安心感を与えたい」と語った。
 この日、外来には正午までに132人が訪れた。再開を心待ちにしていた同町の目黒心一さん(84)はしみじみ語った。「自ら被災しながらも病院を再開してくれた医師や看護師、職員の優しさに頭が下がる思いだ」
(鈴木俊平)


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2019年10月29日火曜日


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