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双葉、富岡、大熊など原発避難自治体が恩返し 台風19号被災自治体へ職員派遣や物資提供

いわき市役所に派遣され、住宅の浸水被害を調査、記録する双葉町職員の相楽さん(左)と田中優馬さん=29日正午ごろ、同市好間町下好間

 東京電力福島第1原発事故で全域避難を経験した福島県の自治体が、台風19号の被災自治体の支援に力を入れている。「避難した際にお世話になった恩返しをしたい」と住民が多く避難する地域を中心に職員を派遣したり、物資を提供したりして行政の業務や被災者の生活再建を支える。
 全町避難が続く双葉町は仮役場を置くいわき市の罹災(りさい)判定を支援するため、28日から5日間の予定で職員2人を派遣。市は被災者が支援を受ける際に必要な罹災証明書の申請が1万件以上に達し、被災程度の現地調査などに多くの人手を要する。
 仮役場で24日に出発式が行われ、派遣される戸籍税務課長補佐の相楽定徳さん(46)は「自分もいわきに住んでいる。感謝の気持ちを持ちながら任務を全うしたい」と意気込んだ。
 町はほかに、備蓄していた飲料水約2800本を大規模断水が発生した市に提供。7日間、延べ21人の職員を派遣して水など物資運搬に協力した。
 町によると、市には町民の半数を超す約2200人が避難する。台風19号では町民も20世帯以上が浸水被害に遭った。町民は被災時の各種手続きを避難先の自治体で行う事情もあり、伊沢史朗町長は出発式で「ある意味で町民のためにもなる業務。一生懸命頑張ってほしい」と激励した。
 富岡町は、仮役場を一時置いた郡山市など4市町村に支援を打診。依頼のあった郡山市に保健師1人を2日間派遣して避難所での健康チェックに協力し、いわき市の給水業務に7日間延べ28人を送り出した。いわき市にはさらに29日から3週間、被災者向け住宅の関連業務に2人を派遣する。
 大熊町は町民約1100人が避難する郡山市に職員派遣を申し出た。中心となるのは市内にあり、保健師ら専門職員が町民の生活支援に当たる中通り連絡事務所。事務所の担当者は「専門職員は一人でも多い方が助かるはず。通常業務をやりくりしてできる範囲で支援したい」と話す。
 全国から応援職員を受け入れている避難自治体の中には、台風被害の応援を見送ったケースもある。浪江町は職員を派遣せず、断水した相馬市、新地町、町民が多く避難する南相馬、いわき、二本松、本宮各市に飲料水約2万6000本を提供した。


2019年10月30日水曜日


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