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備蓄拠点、そこは浸水想定域 仙台市「認識していたが…」対策なく2万食無駄に

備蓄食料を詰めた段ボールが浸水で荷崩れし、散乱する日の出町の倉庫(仙台市提供)

 仙台市宮城野区の市有倉庫が台風19号で浸水し、災害用の備蓄食料が一部使えなくなった問題で、市内の備蓄拠点は2カ所とも「洪水浸水想定区域」にあることが分かった。市は大雨時に浸水の恐れがある場所と知りながら、備蓄品を高い位置に保管するなどの対策を講じておらず、危機管理の甘さが指摘されている。(報道部・田柳暁)
 市防災計画課によると、備蓄拠点は宮城野区日の出町3丁目の市有倉庫、太白区富田の市水道局旧富田浄水場事務所の2カ所。日の出町には約6万4000食の食料、富田には約2万リットルの飲料水と3000枚の毛布などを備える。
 備蓄品を詰めた段ボールは床に積み上げてあった。直接床置きせずに棚に上げたり、雨水の流入防止板を設置したりするなどの対策はなかった。台風19号では倉庫が30〜50センチ浸水。段ボール約600箱が水浸しになり、約2万食が使用不能になった。
 市の水害ハザードマップを見ると、2カ所とも河川が氾濫した場合、0.5〜3.0メートル未満の浸水が想定される区域内にある。日の出町は北側に梅田川、富田は南側に名取川が流れる。日の出町は近年、大雨のたび冠水する常襲エリアだ。
 日の出町の倉庫は1999年に使い始め、一帯は2009年に浸水想定区域に設定された。富田の事務所は13年に備蓄拠点として使用を開始し、16年に一帯が浸水想定区域となった。
 市防災計画課の鈴木知基課長は「浸水対策の必要性は認識していたが、手が回らなかった。他部局が所管する施設を備蓄用に借りており、対策を強く求められなかった」と釈明する。
 東日本大震災後、市は地域防災計画を見直した。最大10万6000人の避難者を想定し、備蓄目標を食料約70万食、飲料水約23万リットル、毛布6万枚と定めた。
 指定避難所194カ所、コミュニティ防災センターなどの補助避難所134カ所に常備し、追加配分用は各区役所や総合支所に備える。備蓄拠点はこれらのバックアップ用で、全体の10%弱の備蓄品を保管する。
 市は浸水で使えなくなった備蓄食料のうち、アルファがゆとクラッカーは市八木山動物公園(太白区)の飼育動物の餌に使い、残りは堆肥として活用するという。鈴木課長は「貴重な備蓄品を無駄にしてしまい、申し訳ない。さまざまな災害を想定し、適切な保管場所を検討したい」と話す。

■2階以上が基本 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)の話

 東日本大震災で津波の被害を受けた沿岸部では、備蓄品は1階ではなく、2階以上に保管するのがスタンダードとなっている。津波の影響が少なかった内陸部は、この意識がまだ浸透していないのかもしれない。近年の豪雨からすると、河川の氾濫はどこでも起こる可能性がある。浸水被害や土砂災害の危険性があるならば、リスクを考慮した備蓄の方法や場所を選ぶべきだろう。


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2019年10月31日木曜日


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