宮城のニュース

<せんだい進行形>地銀、IT駆使し効率営業、七十七銀「オムニチャネル」導入 仙台銀クラウドサービス

 仙台圏の地方銀行で情報技術(IT)を活用した営業戦略が広がっている。七十七銀行は10月、個人顧客との非対面の接点をフル活用する「オムニチャネル」を導入。仙台銀行は11月に取引先企業向けのクラウド型サービスを始める。少子高齢化とインターネットの浸透で窓口への来店が減少する中、ITを駆使した顧客支援が鍵を握りそうだ。(報道部・高橋一樹)

◎七十七銀「オムニチャネル」導入 顧客ニーズを統合管理

 七十七銀のオムニチャネルは直訳すると「全ての回路」。営業店、現金自動預払機(ATM)、スマートフォンアプリ、インターネットなど、銀行と顧客をつなぐあらゆる接点が相互に連動し、情報を共有する仕組みだ。
 根幹となるのはNTTデータ(東京)のサービス「CXMソリューション」。各接点の情報を統合管理することで、接点同士が情報をやりとりするのと同じ効果をもたらす=図=。一つの接点で得た顧客情報を基に、別の接点でニーズに沿った情報を提供する。
 例えば、顧客が銀行のアプリで住宅ローンのリンクを閲覧した場合、その顧客がATMを操作すると、ATMの画面に住宅ローンの案内を表示する。そこでも閲覧があれば、さらにスマホにメッセージで案内を送るといった具合だ。
 七十七銀個人ダイレクト推進課の結城純弥課長代理は「従来は各接点が個別に情報発信していたが、最適な商品を最適なタイミングで提供できるようになった」と説明する。
 接点の履歴は常時更新され、顧客ごとに情報の優先順位が付く。複数の接点で情報提供しても反応がなければ、別の商品の提案に切り替わるという。
 七十七銀は2018年9月〜19年2月、試験的にシステムを導入。そのデータを基にした「フリーローンに関心がありそうな顧客リスト」で営業電話をかけて検証した結果、成約につながる割合が「100件に1件」から「8.5件に1件」にアップしたという。
 システムは各営業店の窓口行員も活用。顧客との手続き中に情報を閲覧し、商品提案に生かせるようになった。検討、不明、拒否といった顧客の反応も登録すれば、その後の情報提供に反映される。
 結城課長代理は「関心のあるお客さまに絞ってセールスできれば業務効率化になる。アプリやATMしか使わない若い層とのつながりも強化できるはずだ」と期待する。

◎仙台銀クラウドサービス開始へ 企業マッチング後押し

 仙台銀行は12日、取引先企業が利用できるクラウド型の経営支援サービス「仙台ビッグアドバンス」の運営をスタートさせる。全国の金融機関が参加するプラットフォームを活用し、ビジネスマッチングや新事業創出をサポートする。
 サービスは有料の専用ウェブサイトを通じて利用する。企業は自社の販売や人材採用のニーズを登録でき、協業できそうな企業とのマッチングを依頼すると、仙台銀と相手の取引金融機関が面談などを調整する。
 サイトでは会員の大手企業が呼び掛けるプロジェクトへの応募や、自社サイトの作成が可能。従業員が会員企業のクーポンを利用することもできる。月額利用料は1法人3300円。
 ビッグアドバンスは2018年4月、横浜信用金庫(横浜市)とITベンチャーのココペリ(東京)が開発し、19年から他の金融機関も導入。10月末時点の大手企業の登録は約400社、中小は約6300社。本年度末には約30の地銀・信金が参加する見通しだ。
 東北での導入は仙台銀が初めて。地元企業応援部本業支援室の担当者は「全国の企業とつながる機会が持てる。一般的なマッチングサイトと異なり、金融機関が入ることで安心して利用してもらえる」と話す。

◎来店客減戦略の背景に

 地銀がIT戦略に力を入れる背景には、顧客に接する最大の機会だった実店舗への来店客減少がある。現在はインターネットが普及し、特段の用事がない限り窓口に全く行かない顧客も少なくない。人口の多い都市部でも店舗の重要性は薄れている。
 七十七銀行によると、店舗窓口の利用件数は2018年度上半期に一店舗当たり平均133件で、08年度の210件から3割以上減った。ATMの利用件数も2割近く減っており、減少傾向は続きそうだ。
 仙台市中心部でも店舗の再編が進む。七十七銀は昨年6月に青葉区の芭蕉の辻支店を本店に統合。今年8月には同区の仙台駅前支店を近くの名掛丁支店に統合した。
 同行は「店舗が重要な接点であることに変わりはないが、持てる資源を最大限に活用しながら利便性向上に努めたい」としている。


2019年11月01日金曜日


先頭に戻る