宮城のニュース

安住の地に水難再び 石巻・さくら町、台風19号で8割浸水 震災後造成、豪雨への弱さ露呈

災害公営住宅で、浸水した和室の畳を外し、発泡スチロールの断熱材の染みを見詰める高橋さん

 台風19号の豪雨による住宅の浸水被害が約1万棟(床上321棟、床下9216棟)に上った石巻市で、東日本大震災後に造成したさくら町の8割近い住宅が浸水していたことが2日、分かった。震災後に新築した住宅や災害公営住宅に移り住んだ被災者が再び浸水被害に遭っており、ついのすみかを求めた先が水害に脆弱(ぜいじゃく)だったことが明らかになった。
 市によると、さくら町は震災復興に伴う土地区画整理事業。水田を造成し2017年1月に換地処分を終えた。住宅は462棟で、このうち速報値で369棟(79.9%)が今回、床下浸水以上の被害に遭った。
 「水(津波)から逃れてきたのにまた水か。何のために移転したのか」
 牡鹿半島の小渕浜で被災した漁業男性(62)は16年12月に新居を構えた。台風19号が接近した10月12日夜に周辺が冠水し始め、水位は50センチほどになったという。
 13日未明にかけて気象庁の雨雲レーダーを見続け、1階の家財を2階に運び上げた。「雨があと1時間降り続いていたら玄関に水が届いただろう。肝を冷やした」と話した。
 被災者が多く移り住む美園地区は13日朝、水位が50センチほどに上がり、一帯が湖のようになった。
 地区東側には震災後、市総合運動公園が整備された。想定を超える雨量で「公園内や外周の側溝の容量を超え、ポンプ場の排水が追い付かなかった」(市都市計画課)ため、公園からあふれた雨水が低地の住宅地に流れた。
 津波で被災し、15年に新居を構えた会社員渥美正年さん(57)は床上浸水の被害に遭った。修繕費は数百万円を見込む。「新居のローンも残っている。しばらくは自力でしのぐしかない」とこぼした。
 災害公営住宅に移り住んだ被災者も浸水被害に見舞われた。
 一帯が冠水した不動町では「市営不動町復興住宅」が市内の災害公営住宅で唯一、床上浸水した。
 1階の無職高橋敬治さん(70)は玄関とベランダから雨水が流れ込み、和室は畳2枚が使えなくなった。
 不動町の東側に山があり、地形上、雨水が流れ込みやすいという。集会所の1階も床上浸水し、駐車場の約25台の車が水没した。
 高橋さんは「災害公営住宅だから安心していたが、まさかここまで水位が上がるとは」と嘆いた。
 市中心部の蛇田地区の「市営新立野第1復興住宅」1階の無職男性(66)は床下浸水の被害を訴える。
 地中から水が染みこんだとみられ、雨水は床下10センチほどたまった。男性は「床下に水がたまれば、仮設住宅のようなカビの問題が起きる」と肩を落とした。
(氏家清志、樋渡慎弥、関根梢)


関連ページ: 宮城 社会

2019年11月03日日曜日


先頭に戻る