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岩手沿岸迫るアワビ漁解禁 台風19号流入土砂が不安を増幅 不漁で口開け見送る浜も

台風19号で流入した土砂の撤去作業が続く石浜漁港=10月29日、宮古市重茂

 台風19号の影響が懸念される中、岩手県沿岸で6日、全国屈指の水揚げ量を誇るアワビ漁が解禁される。東日本大震災や、その後の深刻な不漁に泣かされ通しの漁業者にとっては、不安の種がまた一つ増えた格好。資源保護のため、口開けの見送りを決めた浜もある。
 アワビ漁が盛んな宮古市重茂地区では、海に大量の土砂や流木が流入した。台風から半月以上たっても海の濁りが取れない。漁港に通じる道路の寸断で、集落によっては別の漁港からの出漁を余儀なくされる。
 今春はアワビの餌になる天然コンブの生育も順調で、水揚げ量の好転に期待が高まっていた。
 重茂漁協の前川清参事は「本年度は20トンの水揚げを見込んでいるが、土砂流入の影響で半分程度に減るかもしれない。台風襲来で出漁前に行ってきたアワビ生息域の確認もできず、ぶっつけ本番だ」と気をもむ。
 県漁連によると、県内のアワビ水揚げ量は、震災前に年間300〜400トン台で推移してきたのが、2012年度以降は200トン台と低迷が続いている。
 17年度は147トン、18年度は140トンまで落ち込み、津波で多くの漁船が流失して漁が制限された11年度の117トンに次ぐ記録的不漁となった。
 浜からアワビが消えた要因は、津波による稚貝の死滅に加えて餌の海藻類が岩場から消滅する「磯焼け」現象の拡大とされる。
 気仙地域は、16年度と比較した水揚げ減少率が62%と県内沿岸部で最悪となった。地元5漁協のうち綾里(大船渡市)は全域、越喜来(大船渡市)と広田湾(陸前高田市)は部分的に口開けを見送ることにした。
 秋サケ漁やホタテ養殖も振るわない中、沿岸漁業を存続させるために単価の高いアワビ漁に期待する漁業者は少なくない。
 綾里漁協の和田豊太郎組合長は「後継者を育てるためにも、資源を育てて魅力ある浜にしなければならない」と強調する。
 11月水揚げ予定分の事前入札では、10キロ当たりの平均単価が前年同期比で22.7%増の13万6646円となった。最高額は田野畑村漁協の17万3500円で前年同期比43.6%増。品薄を見越し、価格は高騰している。
(佐々木貴、坂井直人)


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2019年11月03日日曜日


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