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福島県窓口、国が食料・日用品手配 プッシュ型支援に課題 変わる需要、常に精査必要

国の支援物資をトラックに積み込む作業員=10月26日、郡山市

 台風19号で被災した福島県で、国のプッシュ型支援がほぼ終わった。県を窓口として、食料や生活用品を各避難所まで届ける仕組みはおおむね円滑に機能した。しかし被災地の需要が刻々と変化していく中で「何を、いつ、どれだけ届けるか」という点では課題も見えた。
(福島総局・関川洋平)

■リストから選択

 国の支援物資を保管する郡山市の民間倉庫で10月26日、マットレス90枚、タオル21ケースなどが4トントラックに積み込まれた。県の担当者は出発を見送り、届け先の本宮市役所に「40分ほどで着きます」と連絡した。
 内閣府によると、台風19号を受けて国が県内自治体に届けた支援物資は水と食料37万点、毛布4500点、衣類2400点、段ボールベッド1000点など。初めは自衛隊が郡山駐屯地から輸送し、その後、県トラック協会が民間倉庫から運ぶ方式に切り替わった。
 物資は初めの頃の水や食料を除き、大半は県を介して取りまとめた各自治体の需要を踏まえ調達された。
 郡山市の場合、14〜22日に計7回物資を要望。初回は国から示された31品目のリストから食料やトイレットペーパーを選び、2回目以降はリストにない枕や電気カーペットも申請した。物資は早いと要望から2、3日ほどで届いたが、1週間以上かかる場合もあった。
 市防災危機管理課は「必要な量が一度に来るものと、少しずつ来るものがあった。多少のタイムラグは当然なので、その間は備蓄品で対応した」と振り返る。
 特に調達に時間を要した物資の一つが、避難所の間仕切り。いわき市は14日に申請し、必要な85区画分が5カ所の避難所に届いたのは25日だった。このうち1カ所では間仕切りのサイズが想定より大きく、部屋に入り切らないというミスマッチも生じた。
 市保健福祉課は「間仕切りは本来なら避難者の居住スペースが固定化する前に設置したかった。平時は流通量が多くなく、調達が難しいのだろう」と語る。ミスマッチは「被災地側では要望段階でサイズなどまで確認できず、届いて初めて分かった」と説明した。

■民間からも物資

 避難所数も避難者数も日々変わることから、各自治体は必要な物資数の把握に頭を悩ませた。
 本宮市は避難所を最も多い13日未明時点で18カ所開設したが、16日夕方には3分の1の6カ所に減少。これに伴い、国に要望した充電用のテーブルタップや延長コードの数を減らした。
 一方、使い捨てカイロは国に申請して届けられた分に加え、民間企業からも予定外の提供を受け在庫が大量になった。市幹部は「状況は日に日に変わる。何が必要かを常に精査する必要がある」と言う。
 内閣府はプッシュ型支援の態勢は今後も継続するとした上で「福島県に限らず当初の混乱が収まり、自力でも物資を調達できる段階に移っている」とみる。
 プッシュ型の課題に関しては「市町村が要望する全物資を国が用意することが効率的とは限らない。誰が何を調達するかは国と県が早い段階から補完し合う必要がある」と指摘する。

[プッシュ型支援]発災直後は被災自治体による物資調達が困難になるため、国が具体的な要請を待たずに必要不可欠な物資を緊急輸送する支援。東日本大震災の教訓を踏まえ、2016年の熊本地震で初めて本格実施された。実際には自治体の需要を取りまとめて物資を送る段階(プル型)も込みで「プッシュ型支援」と呼んでいる。


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2019年11月03日日曜日


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