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稲わら流れ込み麦の種まけず 石巻の生産者に焦り

麦を作付けする農地に堆積した稲わらを手に取る千葉さん

 麦の作付面積が宮城県内最大の石巻市で、生産者が来年の収穫の行方を危ぶんでいる。台風19号の豪雨が種まきの適期に直撃し、農地に流れ込んだ大量の稲わらの影響で作業が大幅にずれ込んだ。気温がさらに下がると種まき後の生育が遅れる恐れが高まり、生産者は日々、焦りの色を濃くする。

◎処理遅れ、適期逃す

 「一日でも早く種をまきたいが、稲わらの処理だけで何日かかるだろうか」
 六条大麦約15ヘクタールの作付けを予定している高木水田利用組合の千葉志郎組合長(68)は、約20センチまで堆積した稲わらを手に「今から種をまいても満足な収穫はできないのではないか」とため息をついた。
 例年は10月中に種まきを終え、今の時期には3センチほどに育っているという。
 10月12〜13日の豪雨で農地近くの水路があふれ、一帯は4、5日間冠水した。大量の稲わらに加え、流木やがれきも残る。
 県内の2018年産の麦類の作付面積は2280ヘクタールで、うち石巻市は708ヘクタール。六条大麦の作付面積は県内の約半分を占める。
 いしのまき農協によると、麦生産者は稲わらを農地の一角に寄せ、徐々に種まきを始めている。担当者は「今月10日ごろまでに種をまけばそれなりの収穫量は確保できるかもしれないが、今年は難しい。今月後半までずれ込むと麦の成長が停滞する」と説明する。
 堆積した稲わらの処理を巡り、県は来年の稲作を前提に農地へのすき込みや堆肥化を優先させる方針だが、種まきの期限が迫る麦類には適さない。農地にすき込むと「種まきの機械に引っ掛かり精度が下がる」(いしのまき農協)という。
 市内では水稲、麦、大豆を順に育てる「2年3作」が盛んで、一つの作物の遅れは全体のサイクルに支障を来す。市農林課の担当者は「麦の種まきが遅れると、大豆などの作付け時期も遅れる恐れがある」と影響の長期化を懸念した。
 2年3作に取り組む高木水田利用組合は今回、約15ヘクタールに作付けした大豆が冠水し、全滅した。来年6月に収穫予定の麦の収穫量が十分確保できなければ、打撃はさらに大きくなる。
 千葉組合長は「われわれは今だけでなく、先々のことも考えて生産している。来年の状況も気掛かりだ」と天を仰いだ。(関根梢)


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2019年11月10日日曜日


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