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あんぽ柿 回復の矢先に倒木や浸水の被害 伊達・梁川の農家落胆

約3メートルの浸水被害を受けた一條さんの柿の木=6日、福島県伊達市梁川町五十沢

◎原発事故後2年間自粛 18年度に出荷量8割まで回復も

 台風19号で阿武隈川が氾濫した福島県伊達市梁川町五十沢(いさざわ)地区は、福島県特産の干し柿「あんぽ柿」の一大産地だ。東京電力福島第1原発事故後の出荷自粛を経て東日本大震災前の出荷量に持ち直しつつあったが、実を付けた木が根こそぎ引き倒されたり、水に漬かったりするなどの被害を受けた。収穫や加工が11月に本格化する直前の被災だった。

 阿武隈川に築かれた五十沢堤防。両脇の約3キロに広がる柿の木畑に、濁流で引き倒されたとみられる木が散らばる。流れにとどまった木もオレンジ色の実はまばら。ビニールハウスの残骸らしいごみが引っ掛かっている。
 台風の通過から1カ月たつのに、まだ水が引いていない箇所もある。「本来なら収穫が始まる時季。柿の実がたくさんなっているはずだった」と、農業一條篤さん(71)はつぶやく。
 一條さんが阿武隈川沿いに植えている8本の木は約3メートルまで水に漬かった。水は2日間ほど引かず、衛生面を考慮して浸水を免れた実もあんぽ柿に加工しないことを決めた。
 農業岡崎靖さん(57)も所有する約1.2ヘクタールの畑が浸水。「8.5豪雨(1986年)よりも被害は大きい。木が根こそぎ持っていかれたが、やれることをやるしかない」と話す。
 福島県のあんぽ柿は、乾燥加工によって果実中の放射性物質濃度が高まる恐れがあることから、震災後の2年間は出荷自粛に追い込まれた。
 震災前の2010年度の県内の出荷量1549トンに対し、再開した13年度は198トンに低迷。ふくしま未来農協によると、18年度にようやく震災前の約8割まで回復したところだった。
 一條さんは台風に加え春先の凍害や夏の日照不足の影響もあり、五十沢地区全体の生産量は例年の7割にとどまるとみている。
 木が長い時間水に漬かったことで根腐れなどが発生すれば、来年度以降に影響が及ぶ可能性もある。「自然が相手だから、どうしようもない。前を向くしかない」と一條さんは話した。(吉田千夏)


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2019年11月08日金曜日


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